
「特徴がないのが特徴です」なんて言葉がもうあたりまえに使われるくらい、ロボットアニメ(とプラモデル)においては量産型の存在が愛されるようになって久しいですね。まあ確かに世の中の戦闘機や戦車はほとんど量産機だし、「○○専用機」にはなんかアツいものがあるけど整備とか補給のことを考えたら全部同じじゃないとめんどくさい。
アニメロボットのデザインで言うと「もっと強い機体より目立たない外観」が求められるのも量産機のポイントかもしれません。ティックバランというサブフライトシステムを買ってしまったので、ついでに求めたザウォートも、薄緑とグレーで差し色に紺……という、いわば『逆襲のシャア』に登場したジェガン〜リ・ガズィのテイストを継承したカラーリング。

思えば遠くに来たもんだ〜と思えるのは、箱にポリパーツがひとつも入っていなくて、左右対称のパーツもランナーにビシッと整列していることでしょうか。実際の(?)モビルスーツがそうであるように、じゃんじゃん売るプラモデルは生産効率を極限まで上げる工夫が満載です。組んでいると、「なるほど少ないパーツでよくこの動きを実現しているなぁ……」と思う仕掛けに何度も出会うのですが、そんなこと言い出したらガンプラのレビューは全部同じ内容で終わっちゃう。よく動いて、設定どおりに色分けされてて、組み立て楽ちん。
ああ、ザウォートよ、おまえ取り立てて書くことがないかもしれないな……とちょっと寂しくなりながら説明書の最終段落、「武器の組み立て」の項目で思わずニヤリとしました。

説明書には「ビームガン」と記載がある携行武器、マガジンをお尻に刺すよう指示されているのですが、バナナ型のマガジンの上下がどうもわからん。よく見ると「ディテールが入っている方を銃に差し込め」と書いてあるわけですよ。そのディテールが上の写真。マガジンに収められた弾薬の半身が彫り込まれていたんです。小さいけど、大事な要素。ビームガンと弾薬の関係性はわからないけど、設計している人が適当に作っていいわけでもないでしょうから、これをきっかけに「ん、今後ザウォートがもっと活躍するシーンで描かれたりするのかな?」と想像が広がります。

引いた目で見ればカタチの違うロボットが次々出てきて、どんなアクションポーズが取れるのかを語られがちなガンプラ。でも、ほんの少しの彫刻を手がかりに「じゃあどうやって塗ろうか」「自分ならどんな特徴を付けられるのか」と考えるのも、まだリアルロボット遊びの醍醐味だと思うわけです。随所に付いた3mm径の穴も「キミならどうする?」と語りかけてくるようで、だからこそただ組んだ状態をレビューするのではなく、「遊んで出てきた結果」を発信すると面白いんじゃないかな、と思った次第であります。そんじゃまた。
>HG 機動戦士ガンダム 水星の魔女 ザウォート 1/144スケール 色分け済みプラモデル