
「そういえばこの前買った、これの名前なんでしたっけ」と思わずお店で聞き直してしまう。ADA LAB銀座で取り扱っている植物の名前は難しい。このお店が得意とする、パルダリウムという世界にハマっている。ガラスケースの中を多湿にすることで、熱帯に生育する植物を育てようという趣味だ。

なんとなく雰囲気がいいものを買う、なんていうことができればいいんだけど、植物を育てることに自信がないので店員さんに見立ててもらう。ちょうど部屋には温度計、湿度計があるので植物が育つ環境の話もしやすい。といっても大抵は「これは、丈夫です!」なんて言われてしまう。
丈夫なだけだとあんまりだから、ユニークな品種を教えてくれとリクエストすると「ううむ……」と気難しい顔をしたかと思ったら10種類くらい教えてくれた。その中でも特におすすめと言っていたアヌビアスコインリーフは、茎からも根が生えるのが特長。奇妙な見た目をしていたけど「これが面白いんです!」と店員さんのテンションが上っていたので購入することにした。
植物を育てていて、楽しいのは「この植物の名前や背景とかはそこまで知らなくても良いんだな」という奔放な気持ちだ。湿度管理に関わる水のやり方にはちょっと気を使っているけど、それにしたって気楽なものだ。適切な環境で伸びたり枯れたりしているのは見ていて面白い。プラモデルのマシーネンクリーガーなんかもそんな感じで、あんまり背景は知らない。ただ、作るのが楽しいプラモデルだなという認識で、作っては塗ってを繰り返している。

WAVEの1/20 メルジーネはピーマンみたいな見た目が面白く、どことなく自然を感じさせる。プラスチックの色がサンドブラウンなのも相まって、より土っぽさを覚えるんだと思う。嵌め合いが少しきつい部分があったので、そこは穴にニッパーで切り込みを入れて調整しながら組み立てたが、楽しく作ることができた。
パルダリウムが部屋にあるし、塗装はそれに合わせた雰囲気が良いな……なんて感じで、迷彩っぽく仕上げた。とはいうものの、ここに来るまで三回も四回も塗り直している。何度も色を重ねていると、いきなり「これだ!」という仕上がりに出会えるから面白い。私にとってマシーネンの塗装は、植物の芽が出る瞬間を待つように、何度も塗理重ねることが楽しいのだ。