ハセガワのアイアンギアー組みました?めっちゃ平べったいですよね。そもそもめちゃくちゃにデカいロボット(上の写真の手前に立っているのが『戦闘メカ ザブングル』主役メカのWMザブングルです。アイアンギアーどんだけ巨大なの!)の腰から下がバクーッと前後に割れて地べたに広がり、ランドシップ(地上戦艦)になるというアイディアがすごい。なんだそれ。そしてハセガワはこのランドシップ形態固定モデル……つまり変形ロボをあえて「ロボじゃない方のカタチ」でプラモにしたわけですね。チャレンジングだと思います。
艦船模型も多く手掛けてきたハセガワのプラモだけあって、この胸部ハッチの裏側に位置する甲板の部分が(グレーのプラスチックなのもあいまって)かなり艦船模型っぽく見えるのが可笑しい。劇中でもここはハッキリと描き込まれていて、ターンテーブルやレールが機能しそうなディテールが実感あるな〜と思わせてくれます。全体的に嵌め合わせが硬かったり緩かったりとちょっと不安定な感じがしますが、組むだけならそんなに難儀しないでしょう。
このプラモの大トロはこのパーツだと思います。腰ブロックの裏。完成したらひっくり返さない限り見えない。いわゆるガンダム的な腰ブロックが巨大なヒンジで前後にガバっと開いてワンパーツのなかにギチギチにディテールが彫り込まれているのが美味しい。ここがワンパーツで微塵も動かないから「ランドシップ形態固定モデル」になるわけです。
腕先端には格納された拳の先端部だけが見えるから、そこだけパーツになってるんですよね。色分けも相まって、未完成のロボットモデルみたいでかなりファニーです。アイアンギアーの変形というのは脚が前後に「開き」になるのと、つま先が内部に格納されて胴体が後ろにガーッと移動するくらいのもんで、そこまで複雑じゃありません。ということは……気になりますよね。どれくらい頑張ると変形モデルが作れるのか。そして変形するとどんなロボ形態になるのか。
とりあえずつま先のパーツを外して脚を縦に置き、腕を下にダラッと下げた状態にします。右にいるのは1/144のガンダムMk-IIと1/450のイデオンです。イデオンめっちゃデカいと思ってましたが、アイアンギアーもなかなか巨大なメカです。しかしランドシップ形態のド迫力ボディを考えると、模型としては意外なほどコンパクトにまとまりそうな予感がします。
腰アーマーに相当する部分は自分で切り離したり可動機構を入れたりする必要がありますが、とりあえず「ユニットの位置をロボ形態にしたぞ」の図。左にいるのはMODEROIDの1/100ザブングルです。ここからさらに首が縮んで変形完了……なんですが、案外イケそうじゃないですか!? ちゃんとつま先が収納されるスペースもあるし、各ユニットの位置の移動はそれなりに考えて設計されているなと感じます。デッカくてシャープなだけじゃなく、「少々頑張れば変形モデルにもなりそう」というのがこのアイアンギアーの面白いところだと思います。キットに込められたハセガワの目配せをぜひ堪能してください。そんじゃまた。
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。