タミヤのF-35A、開けてびっくりするのが窓!「窓二枚ナンデ!?」と思わず叫んじゃうよね。めっちゃきれいな薄茶色に染まったキャノピーは透明度高く素晴らしい成形。ちなみに表面にはうっすらとパーティングラインのようなスジが入っていますが、これはパイロットが緊急脱出するときにキャノピーを破砕するためのコード(デカールで再現)を貼るためのアタリなので削ってキレイにしなくても大丈夫だぜ。
枠がふたつでワクワクさん。なんとこのプラモは完成後もキャノピーを開いた状態と閉じた状態に差し替えて遊べるようになっているのだ。中央に見えるアーチはキャノピーの内側に接しているけど、フレームの裾の部分とさっきのキャノピーをホントにちょこっとだけ貼ればしっかり固定されるから大丈夫。フレームをよく見るとキャノピー内側の微細な突起とカチリ嵌合する溝が切ってあるでしょ。ここにほんの僅かに接着剤を流すだけでOKだ。クリアーパーツ、汚したくないもんね。
さて、みなさんは飛行機模型でいちばんジロジロ見られるところを知っているか。それはコクピットだ。なぜなら飛行機のカタチは全体形がバッと目に入ってしまい、モノの数秒で見終わってしまう。よほど丹念な汚し塗装とか目もくらむような微細な工作がどこかに施してあれば別だが、そうじゃない場合は密度感が一番ある「顔」がコクピットになる。ここがかっこよくできていれば、あたかも全体がめっちゃよくできている印象を与えることすらできます。ホントに。
パイロットはめっちゃリアルな彫刻でパーツ化。ヘルメットのなかにディスプレイがあって、F-35の機体のそこかしこにくっついたセンサーの映像や情報がそこに表示される。なんなら床を透かして敵の施設をズームイン、ということもできてしまうらしい。めっちゃSFじゃん。プラモデルを組んでいるとこういう話を知りたくて延々YouTubeを見てしまうので危険だね。危険ではないか。知識が広がり、プラモがもっと楽しくなり、次もまた組みたくなる。ええこっちゃ。
バスタブ状のコクピットは機体上面パーツにベタッと貼るのだが、これまたコクピット後方には巨大なノリシロが出ていてエラい。タミヤの設計の最大の妙はノリシロだな〜と常々思うが、このF-35はもはやノリシロのおばけみたいなもの。切り欠きと丸を合わせてカチリと位置を決め、そこにちょんと接着剤を置けばコクピット搭載完了。ああ、世の中の仕事がすべてこれくらい合理化されていたらなんと良いだろうか。
最後の最後にパイロットを乗せるんだけどさ、なんとなーく組んだ超リアルな人形の手のひらに、まるでそれが予定されていたかのように(予定されてたんだよ!)操縦桿がスポリとハマるこのミラクル。操縦桿の位置や腕の角度をイジイジしなくても、別々に作っていた飛行機と人間が一台となる瞬間。これこそF-35Aが完成する瞬間の、大クライマックスと言って良い。もしかしたら俺たちは、この瞬間を味わうために生きてきたのかもね。そんじゃまた。
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。