飛行機模型の着陸脚、おっかないですよね〜。飛行機がだいたい形になってから最後に白く塗って、貼り付けてからちゃんと固定された状態じゃないと地面に立ってくれなくて……なんか細かいし。しかしタミヤの1/48 F-35Aのノーズギアはそういう気持ちを汲んで、胴体側(写真の右上)に「四角い不要部分」がくっついた状態でパーツ化されています。この不要部分はいったいなんなのかというと……。
こんなふうに脚収納庫のなかに収納した状態で取り付けることになるんです。で、不要部分が脚収納庫内部の構造と当たっているため、着陸脚が胴体の外側にダランと出てこない。そもそも着陸脚というのは真ん中の太い円柱が胴体に刺さっているんじゃなくて(だとしたら出したり入れたりできないもんね)脚収納庫の左右にある回転軸で支えられているんだな。画像検索するとわかるんですが、実機の構造もこうなっている。たしかに。
で、胴体を組み立てて全体の形がだいたい見えて、主脚を据え付けてから、さっきの不要部分をニッパーでカットすると初めてノーズギアを立ち上げることができるんですわ。これは「実機の構造を追体験できる」「なんか組み立ての手順が面白い」ということに加え、作業中にうっかり机の縁や手をぶつけて折損してしまわないように……という配慮なんだとか!すげーな!なんだそれ。豊臣秀吉なのか!? 懐で草履温めてくれていたのか!?
3本の着陸脚が一気に立ち上がることで、飛行機は自立することができるようになり、その後の作業もスムーズに進むっちゅう「組み立ての手順とトラブルの回避」を実現するための配慮が最初に見た不要部分なんすねえ。
ちなみにF-35の主脚はかなりタイトな空間からニュルリと身を躱すように出てくる構造で、こちらは実機の構造よりも取付強度を優先した作りになっています。「実際に折れ曲がるヒンジの部分はここだな」というのは形状で再現しつつ、正しい取り付け角度で重みのある胴体をガシッと支えられる2本の長い突起が飛び出しているのがわかりますね。
胴体の水平面に対して斜めに差し込む(しかもグラつかず、強度も角度もバッチリな)工程は、組んだ人だけが「あ、さっきのパーツが縁の下の力持ちになってくれているんですね!」と喜んじゃう構造によって実現しています。これは買った人だけのお楽しみ。さて、プラモになると細くて頼りないし、角度がバシッと決まらないのは着陸脚だけではありません。それを収納するトビラだってけっこうな難関です。
着陸脚や爆弾を収納しておく数々のトビラは、外側と内側のピース構成になっていて、それらを開閉するためのヒンジを挟み込みながら接着します。形が似たりよったりのヒンジもそれぞれ取り付けるノリシロの形が工夫されているので間違うこともなく、胴体側に設けられた切り欠きとバッチリ噛み合います。
飛行機本体はガッチリ組めても、着陸脚やミサイル、爆弾は構造上どうしてもノリシロを大きくしづらく、取り付けがフワフワしている(しかも飛行機プラモでは最終盤に来る工程なので集中力が求められる)ものです。しかし、ここ数年の1/48傑作機シリーズではこうしたこまかい部分でも剛性感と確かな取り付け角度を誰でも得られるような設計になっています。
なかでもF-35はステルス機であるため、機体下面の開口部とトビラの枚数がめっちゃ多い。ツルンとしたシルエットに映える、「お腹のメカメカしさ」という見せ場を気持ちよく楽しめるよう、普段よりも一層気合いを入れた設計になっとるんですね。ということでこのアイテムの話はまだまだ続くのじゃ。