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蛍光色デカールの魔力に飲み込まれる週末。エアフィックスのヴァンパイアT.11

▲ このデカールの存在感!!

 デカールは国籍マークや機番などに使われる、ごく薄いフィルム状のシールのようなもの。デカール貼りは繊細で気を使う作業ではありますが、貼る前と後ではプラモの締まり方が大違い。一気にキリッと密度が上がって見える魔法のアイテムです。

 さいきん箱を開けたエアフィックス1:72 ヴァンパイアT.11は、そのデカールの魔力が異様に強いキットでした。パッケージに描かれたハデハデな機体のマーキング。モデラー諸氏なら「あっ、やばいかも……」と思いますでしょ?

 でも大丈夫! 機体に描かれた蛍光オレンジの部分は、ぜんぶデカールが付属しているのです。戦後イギリス機の製作時に頭痛のタネである主翼下面のシリアルナンバーも、主脚カバーの形に沿って分割されたデカールが付属します。ありがとうありがとう……。

▲胴体から伸びる細い双ブーム、エンジンに繋がるダクト……ヴァンパイアの特徴が詰まっています。

 デカールを貼る前に、ちょっとだけキット自体の話を。モチーフは初期ジェット戦闘機の傑作・ヴァンパイアの練習機型で、並列複座の操縦席はまさに教習車のようです。キットはヴァンパイアの生まれ故郷・イギリスのエアフィックスから2012年に発表されたアイテムで、今回のものは収録マーキングが新しくなった2018年版のパッケージ。現在でもわずかながら店頭在庫を見つけることができます。

 小さな機体の表面には、エアフィックスの特徴である深い彫刻がバシバシ効いていて、ミニチュア感抜群。オーセンティックなスケールモデルとしてはオモチャっぽいと評される向きもあるようですが、デスク脇に飾るのにちょうどよさそうな存在感です。

▲ 組み立てはノーストレス。ものの数時間で、ツルンとしたヴァンパイアが出現します。

 サクッと形にして、ザザッと銀色を塗装。これはこれでヴァンパイアらしくてかわいいですよね。もうこれで完成でもいいんじゃない? という感じです。

 ですが、このプラモはここからが本番ですよ~。

▲ 塗装図がもうすごい。デカール貼付指示の嵐を、根気よく解読していきましょう。

 格別の緊張感! モニタ越しではお伝えできないこの超ハイビビッドな蛍光オレンジは、わが家の塗料ビンラインナップにはありません。つまり、デカールの貼付失敗はかなり致命的。でも、この作業をしばらく続けていると一種のランナーズハイ状態になってきて、没頭というか恍惚というか、とにかく心地よい集中状態に突入します。人間って不思議なもので、こういうときは大失敗しないんですよね。切って、水に浮かべて、貼り付ける作業を無心で繰り返します……。

▲ すばらしい発色ですが、若干硬め。デカール軟化剤をドバドバ投入していきましょう。

 なんとか走り抜けました! 最初の銀一色もかわいかったけど、こうして見ると一気に情報量が増して「スケールモデルをやっているぞ~」という気持ちになりますね。

 繊細な作業だからこその没入感。上質なデカールを貼っている間は現世を忘れられていられる、実は尊い瞬間なのかも。たまにはデカールを主役にプラモを作ってみるのも一興ですね~ってことで、次回もデカール軟化剤の海でお会いしましょう。

出口ぶなのプロフィール

出口ぶな

1993年生まれ、会社員。週末DTPオペレータ。プラモは2日間で完成させたい派。

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