切って貼るだけで、誰よりも詳しくなってしまう。/ICMのT型フォード スタッフカー

 大量生産の申し子といえばT型フォードですが、そんなことは全く気にすることなく「かっこいい車だな」と思ってICMのT型フォードスタッフカーを買いました。しっかり再現されたエンジンだとか、板状のパーツとかを丁寧に貼り合わせて、ボディとくっつけてバシッと車体を作ります。パーツが細かく、各所がしっかり再現されているので、それぞれの工程の濃度が濃い。

 シャーシなんかは棒状のパーツを貼っていくことになります。ただ、その工程を経ることで強度が増していくことがはっきりと分かるリアルな組み立て感が楽しい。そのせいで結構マジで「T型フォードを作ってるな俺」って思いながら組み立てていました。

 とは言うもののですね、よく考えたらT型フォードってベルトコンベアで生産ラインを組み、流れ作業の分業制で作られた乗り物です。なのに、俺はひとりでT型フォード全体を組んでいる。プラモデルって基本的にひとりで作りますよね。なので、「エンジンだけ作って、次の工程にパス」なんてことはない。もしパスを出しても受け手は俺。

 「デカい工場をワンオペで回す」みたいな妙な状況に置かれている中で、あることに気づきます。それは「もしかすると、俺って当時のラインで働いていた人たちよりもT型フォードに詳しくなっているのでは?」ということ。エンジンを作ってシャーシやボディの組み立ててタイヤをくっつけて車の形になるまで、本来は分業で行われていたはずの工程をひとりでやってしまったのだから。

 それに、T型フォードは単純な構造だからこそ細部まで再現されていて、シートの下のガソリンタンクだとか、運転席から延びるハンドルのシャフトがちゃんとステアリングバーにくっついている様子を見ることができる。受験の世界でしか知らなかった世界で一番有名な車も、こうやって組み立てると「よく知っている車」になるのが面白いですね。

<a href="/author/crisci4mens/">クリスチ</a>
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。