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組むだけで白黒ツートンを再現できるパトカーのプラモデル/めっぽう楽しいアオシマのクラウンPC レビュー!

 パトカーのプラモデルです。アオシマの色分け済みスナップフィットモデル。接着剤なし、色塗りなし、ただハコのなかに入っているものをていねいに組み上げていけばこの仕上がになるって、ものすごいことです。

 アオシマ製1/32楽プラシリーズは、ひとつの金型からたくさんの色違いやカスタムホイール仕様を発売することでラインナップを増やし、「安価で選択肢の多いカーモデル」としていまや模型店の店で大きな存在感を示しています。しかーし!パトカーだと色違いやカスタムホイールはありえません。

 プラモデルの(メーカーにとっての)商品特性のひとつである「金型を使いまわしていろんな商品を出す」というメリットを享受できないことが、パーツ状態で一目瞭然です。白いボディは最初から赤色回転灯の台座が一体になっていますし、なによりもパトカーならではの白黒ツートンの模様がそもそも白と黒のプラスチックパーツで表現されているのです!ボディーパーツはボンネットの黒い部分が一段凹んでいます。

 ノーズにグリルやヘッドライトを表現するメッキパーツを取り付け、さらに黒いパーツを被せることでパトカーの模様ができる……。ノーマルのクラウンのプラモデルをベースにパトカーっぽく見えるように追加パーツとシール(あるいは塗装用マスキングシート)を入れるという選択肢を取らず、本製品はノーマルのクラウンには絶対に組めない、まさに「パトカー専用の金型」でユーザーのハートをガッチリ掴みに来ているのです。

 ボディサイド下半分の黒だって、パーツ分割で表現。塗装しなくてもパトカーになる……と謳うなら、たしかにそうするしかないよな!というアオシマの覚悟に慄きます。パーツ同士はピタッと合うので白と黒でアウトラインがチグハグになることもありません。そしてここに貼るシールがまたすごい。

 透明の地に印刷されたボディサイドのマーキングは、両サイドと真ん中に細く小さな黒い線を入れて貼る位置を確実に決められるようになっています。両サイドの横棒は白と黒の境界線に合わせてシールを貼る位置の高さを決め、真ん中のT字をドアのスジ彫りに合わせると前後位置が決まります。十字の線ではなくT字の位置決めマークにすることで、ボディ下半分の黒いパーツに溶け込んで見えなくなるという工夫がマジで偉い!

 プラパーツとシールの組み合わせだけでみるみる仕上がっていくのはアオシマの楽プラシリーズならではの楽しさ。ヘッドライトとリアコンビネーションランプのクリアーパーツはメッキパーツに開けられた穴にハメ込む設計なのですが、ハメ合わせがかなり硬いのでご注意を。ここだけはクリアーパーツのピンを切り飛ばしてパーツのフチで接着するか、あらかじめメッキパーツ側の穴を少しだ大きくしておくなどの気遣いをオススメします。

 赤色回転灯はブーメランタイプで内部の機構もそれとなく再現されています。パトカーがパトカーらしさを獲得するクリアーレッドの覆いはさながらショートケーキのイチゴのよう。まさに「このパーツをくっつけるためにここまでの工程があったんだよなぁ!」と思えるカタルシスがズドンとやってきます。

 完成してからあれこれ調べてみると、210系クラウンはロイヤルとアスリートというふたつのグレードがあって、どちらもパトカー化に際して内外装は専用パーツを用意されている様子。なるほど、「フツウのクラウンのプラモデルをちょっといじってパトカー化する」という安易な方法ではたしかに実車に忠実な模型にはならないし、ただ色再現のために専用金型を起こしたのではないのだな……ということに気付かされました。

 もっと視点を引いてみれば、もとのクルマがなんであろうと「白黒のボディに赤色回転灯がくっついていればパトカー」というのがごく一般的な人の解像度であるはず。特定車種のファンじゃなくても確実に刺さるキャラクター性こそがパトカーの特権であり、ゆえに「いろんな色やカスタムバージョンを出さなくても単一仕様でしっかり売れる!」という勝算があったに違いありません。

 なによりこれを組んだ自分が、なんとなくひと括りにして「パトカー」と認識していたクルマをより細かく識別しそうになっているのが面白く、やっぱりプラモデルを組むことは世界を認知するための画素数を上げてくれる最高のセンサーなのでありました。それじゃ、また。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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