ハセガワ製ミニ クーパー1.3iの窓パーツ。実物のフロントガラスはぐるりとゴムで囲われており、さらに細ーいメッキモールがゴムの中央に走るという構造です。カーモデルでは窓をクリアーパーツで再現して、塗装されたボディの内側or外側からそれをはめ込んで接着するのが普通なんだけど窓枠はボディ側に彫刻されていたりガラス側に彫刻されていたりまちまち。しかも塗装がめっちゃむずい。
説明書ではサラッと書いてあります。まずはゴムをセミグロスブラック(半ツヤの黒)で塗ってから、銀色の細いデカールをモールの溝に貼るという仕様。文字で書くのは簡単だけど、超難しくないすか?プラモってこういうところでひるんじゃうととたんに手が止まりますよね。
ちなみに窓の真ん中に書いてある「UA」というのはキットに同梱されているカット済みの窓マスキングシール。これをベタッと貼って黒を吹くだけならいいけど、銀のメッキモールがちょっと難物だね。
しかしハセガワの開発マンは「デカールを使わなくても塗装でできちゃうよ!」という方法を考えて、なんとハセガワの公式サイトにワンポイントアドバイスとして掲載しています。
なるほど、「結果的にこうなってほしいからあとはやり方を考えてね」というプラモデルのなかで、「こうすればできるはずだよ!」という具体的なやりかたを提示してくれると嬉しい。とは言え、ほんとにこんなにうまくいくのかどうか、つべこべ言わずにやってみよう。
まずは窓マスキングシールをベタっと貼って(室内側は手持ちのマスキングテープで保護しておこう)、モール全体をツヤありの黒でブシーっと吹きます。黒はアクリル塗料orラッカー塗料を選択しましょう。エアブラシでも缶スプレーでも筆塗りでもいい。大事なのはマスキングシールをこれでもかと窓に密着させておくことです。ちょっとでも浮いてると塗れた塗料が隙間から侵入して窓の縁がゾジゾジになってしまうので……。
今度は中央の細い溝に、シャバシャバに溶いたエナメル塗料のクロームシルバーを流し込みます。幅1mmにも満たないラインですが、ちゃんと凹んでいます。先の細い筆とヘッドルーペは必携!なるべくはみ出さないように、毛細管現象で銀の塗料をツーっと流し込むのです。ひえー(はみ出しても大丈夫だよ)。
最初にツヤありの黒を吹いたのは、はみ出した銀のエナメル塗料をツルッと拭き取るため!エナメル溶剤をごくごく少量綿棒に染み込ませて、はみ出したシルバーを拭えば「ゴムの中央に銀のモールが走っている様子」が再現できました。最後に好みで半ツヤorツヤ消しのクリアースプレーを吹いてコートしましょう。
じつはこの方法、実物のミニもゴムの中央に溝が切ってあってメッキモールを埋没させるようにはめ込んでいく構造で、それを再現したものなんだって!普通のカーモデルではなかなか応用出来ないかもしれませんが、例えばこんな細いところに好みの色を入れたいときには絶対使えるテクニック。ハセガワの実車LOVEが教えてくれた塗装法で、みんなのプラモデルにも精密さをプラスしてください。そんじゃまた〜。
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。