今回、戦車を塗り直すことで、戦車としてのデザインや歴史的な面白さだけではなく、色を塗る魅力的なモチーフであるという側面に気づきました。
「これはうまくいったぞ」と思いながら、塗装したタミヤの1/48の三号突撃砲を部屋に飾っています。ただ、ストームタイガーと一緒に飾ると仕上がりの方向性が気になります。あの頃は、上出来だと思っていましたが、こうして並べるのであればテイストをそろえてみるのも面白そう。というわけで塗り直してみることにしました。
使用した色は覚えていたので、それにこげ茶を混ぜて暗さと渋さを増していきます。作業を始めてすぐに気づいたのですが、全体を暗くする場合は、暗い色から塗っていった方が良さそうです。黄土色の部分を暗くしようとしたら、見事に茶色と馴染んでしまい、ほんの一部ですが色の境目がわからなくなりました。
すでに迷彩模様で塗装済みなので、それをなぞるように色を重ねていくだけで全体を濃くすることができました。思ったよりも時間はかからず、フィルタリキッドを使う余力もあったので一気に仕上げることが出来て、まさに三号突撃砲のおさらいという感じ。
ずっしりと重厚感を増したストームタイガー。箱のようなフォルムがぼやけてしまったので角を紙やすりで撫でてみると、塗り直す前の明るい色が見えてきてエッジが出てきました。ここまで塗って、ようやく塗装は平面的な塗り以外の面白さがあることに気づきました。
奥行きがある部分や、何かの陰になっている部分は暗く、反対に出っ張っている部分や、光が当たっている部分は明るくしていくというような、演出の面白さがあるということです。戦車の重なる転輪や、エッジのはっきりした車体はそれを受け止めてくれる良さがあります。
そういえば、牛の頭蓋骨やガラスのコップなどを美術の授業で何だかわからずにデッサンしていたのを思い出しました。あれはあれで、描き手の表現をおのずと引き出す効果があったのでしょう。戦車にも、同じような効果があるような気がします。
1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。