

この色に塗ろう!と思ったときにいったん立ち止まるようにしている。理由は、明暗のバランスを考えて塗りたいからだ。例えば、ターコイズブルーで塗ろうと思ったときはそれよりも暗い色で始めるとか。
黒下地から銀のドライブラシの場合は特にこれが大事だ。単純な光と影を生み出した状態から塗る、暗い色は影に色をつけるような役割を果たす。透けるくらいに薄めた塗料で全体を塗っていくとあっという間に全体が青みがかり、下地の色と相まって表情豊かな塗面が出来上がる。

ここからターコイズブルーを塗ると、一気に華やかな見た目になる。これは同系色の青色が下地として生きているからだ。黒と銀の下地を青くすることで、なめらかな色の移ろいを演出してくれているというわけ。ぐっと沈んだ青色はターコイズブルーと馴染みつつも明るさを強調させる名脇役。ターコイズブルーを塗っていくと光が差し込んだかのような気持ちになるくらいに、暗い色があるからこそ明るい色は目立つのだということを教えてくれる。

この塗装方法と鎌倉時代の鎧武者はとても相性が良いと感じた。着物のシワは特にそれを実感しやすい。なめらかな曲線で構成されていながらもシワのメリハリがしっかりと付いているので、布が折れ曲がってへこんでいる部分などの光が届きにくい部分ははっきりとわかるし、反対に出っ張っている部分は光が当たり明るい。それを銀色の光が教えてくれるからだ。

さらに塗り込んでいくには、へこんでいるとことにも明暗があって、その明暗の中にもさらに差があって……と細かく細かく面ごとの明るさを評価して色を乗せていくことになるのだけれども、どこまでやるかは自分次第。今回は、暗いところをガツンと残してターコイズブルーとのコントラストをはっきりと活かした仕上がりにした。もっと黒い部分を青っぽくしたり、反対にターコイズブルーの部分でも明るい部分は水色をピンポイントで乗せていくとなめらかな感じになりそうだけども、着物のシワのメリハリを際立たせるにはこれくらいが好きだったりします。