零戦のプラモデルが連れて行ってくれる、旅先の美味しいレストラン。

▲主翼のディテール、絶景。

 「古いのに──」なんて言葉は必要ありません。音楽、小説、映画……良いメディア作品は時代を超えます。約80年前に生産された零戦の、約40年前に初販されたプラモデル。タミヤの1/48・零戦52丙型です。

 パーツを実際に手に取って、両目で立体的に見てみると、記事で見たより100倍カッコいい。特に主翼の彫刻は素晴らしく、ランナーを手に持って角度を変えると、コンマ何mmという小さいリベットが光の具合で見えたり見えなかったりして、目で全てのディティールを追いきれません。その感覚は、まるで静閑な山奥で満天の星空を見ているようです。

▲満足するまで鑑賞したら、組み立ての旅に出かけます。

 粘度のある接着剤と、速乾の流し込み接着剤。これ無くして旅は始まらない、プラモデルのパスポートです。臨機応変な接着に対応できるこの2つに加えて、ニッパー、デザインナイフさえあれば、旅支度は大丈夫。GO。

▲コックピット内部にも素敵なディテールがたくさんあります。

 良い旅の条件とは、良い出会いと、良い別れです。コクピット内側まで情感たっぷりに立体化された彫刻は、機体を接着してしまえば殆ど見えなくなってしまいます。しかしそれが良いのです。記憶の中にだけあるディテールが、より強烈な思い出になることがあるのです。旅先で入った、地場のおいしいレストランが忘れられない様に。

▲その観点から一番美味しかったのは、主脚庫の中でしょう。

 配線も表現されていて、とっても良い彫刻です。そこに飛行状態専用の主脚カバーをペタッと置き、流し込み接着剤をツーっと流し込んでしまいます。さようなら。とても綺麗でした。

▲エンジンカウルを被せて、素晴らしいエンジンの彫刻ともさようなら……と思いきや、こちらはいつでも外せるみたい。思いがけないお土産を手に入れて完成。

 放熱の時に可動させるというカウルフラップを、粘度のあるタミヤセメントで微調整しながら開いた状態にしてみましたけれど、動かないプラモに動きがついて、大変よろしいですね。食事の美味しい、良い旅でした。また行きたいね。

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ハイパーアジア

1988年生まれ。茨城県在住の会社員。典型的な出戻りモデラー。おたくなパロディと麻雀と70’sソウルが大好き。