古いキットながら、組んだら絶対にかっこいいと確信した1/48のSAAB ビゲンを飛行機の形まで持ってきました。キットには窓枠の形をトレスしたカット済みマスキングシートが入っていて優しい。大外の枠を貼ったら内側はコマ切れのマステをペタペタ貼ってカバーしておきます。この状態になれば、あとは野となれ山となれ。黒い下地塗料を全体にガバっとスプレーしちゃいます!
>ホビコレ プラッツ/イタレリ 1/48 スウェーデン空軍 戦闘攻撃機 AJ37 ビゲン
黒くなっただけでグレーのプラスチックのときにはあまり感じられなかったアウトラインの凹凸がハッキリとしてきます。頼りなかった凸線の彫刻もなんだかくっきりと立ち上がってきて、見た目に随分と力強い印象に。この黒い下地ができたら、シルバーの塗料と筆を用意しましょう。筆は小さなものより、ちょっと先のたっぷりとしたものが良さそう。今回は手持ちの中からゴッドハンドの「平丸L」をチョイスしました。
銀の塗料を筆にほんの少しだけ含ませて、黒い下地の上にこすりつけます。ドラマチックに質感の変わるこの瞬間、ちょっと野蛮な興奮が訪れます。筆を持って色を塗るって、こんなに楽しかったのか!という気持ちを噛み締めながら、ときに長いストロークで、かすれたところには擦り込むように、タッチを変えながら全体が銀で覆われるまでの静かな時間を過ごしましょう。下地塗料も一緒にほじくり返してしまわないよう、「濡れたところを二度触らない」に気をつけて!
ちょっとした凸凹、ムラやカスレは筆塗りにしか出せないタッチです。凸線の彫刻に穂先が弾かれてラインの周辺が黒いままになるのもなんだかリアルな印象に。黒でも感じた機体のグラマラスなアウトラインが、光沢のおかげでよりハイコントラストになって浮かび上がります。筆塗りの醍醐味、金属色の特権。銀に塗る飛行機でしか摂取できない栄養素、あると思います。
>ホビコレ プラッツ/イタレリ 1/48 スウェーデン空軍 戦闘攻撃機 AJ37 ビゲン
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。