プラモデルが見せてくれるデザインの裏側/プラッツ メイヴ雪風

▲向かい合うカナード翼と前進翼が、2つのブーメランのよう。異形のシルエット。

 「カッコイイから作りたい。」のではなく、「何故カッコいいのか、確かめるために作りたい。」と思ってプラモデルを作ることがあります。山下いくとデザイン最高峰のひとつ、OVA戦闘妖精雪風に登場する「メイヴ雪風」のプラモデルが私にとってそうでした。

 ギュッと情報が圧縮された1/144スケールの小ささだからこそ、そのカッコよさの芯が見えて来るような好キットです。

▲ランナーからパーツが飛び出していると、嬉しくなってしまう……!

 プラモデルとして平面的に分割されたパーツの形状は、メイヴ雪風が構成する美しさの最小単位となって、ランナーの所々で花開きます。特に本キットで一際咲き誇っているのは、この流麗なフォルムの機首でしょう。細くU字に抉れた部分はまるで粘土を切れ味の良いナイフで切り取った様で、テーパーの角度が微妙に変化して非常に面白い形状です。出来上がった完成品では隠れてしまい見ることの出来ない角度からも、デザインを観察できるのがプラモデルの良いところ。

▲ランディングギア無しの、飛行状態で組み立てます。あとは機体下部をペタッと貼れば、ほぼほぼ完成という状況。

 垂直尾翼が無い為、それぞれのウイングが生き物の様にウニウニと動いてバランスを取りながら飛ぶ様子が印象的な、OVAのメイヴ雪風。そんなウイングの角度は飛行状態から格納状態まで、かなり自由な角度で接着できます。接着面積が狭いので結構テクニカルですが、それがこのスマートなフォルムとして結実するとテンションが上がります。

▲完成!前から見てもこんなに薄い。

 いやしかしメチャクチャ薄い……!ステルス機の様に翼が主体だったのか……!というのは正直プラモデルを作るまでは全く認識できていなかったことでした。アニメーションやイラストで描かれるメカは、いわゆる”絵になる”画角で描写されることが多いわけですが、逆に模型ならこのようなパッと見て”映えない”角度からも観察できるのですね。プラモデルは、そのデザインの見えていなかった点にたくさん触れることのできる、最良のメディアではないでしょうか。

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ハイパーアジア

1988年生まれ。茨城県在住の会社員。典型的な出戻りモデラー。おたくなパロディと麻雀と70’sソウルが大好き。