ヒコーキ模型は「吊るしもの」……つまり爆弾とかミサイルとかを最初に作るとめちゃくちゃ完成が近づく。当然私も飛行機本体から作りたいのだけど、ぐっとこらえて爆弾なのである。マーヴェリックも爆弾を落とさなければならず者国家をやっつけることは出来なかった。マーヴェリックがいくら最強パイロットであったとしても、爆弾がなければただのトム・クルーズである。なんのこっちゃ。それでは参ろう。
ホビーボスのスーパーホーネットを買ってきたら、なんか箱がめちゃくちゃに大きい上にランナーがやたらめったら入っていて怯む。しかしよくよく確認すると、飛行機本体のパーツはそこまで騒ぐような量ではなかった。何を隠そう「吊るしもの」のパーツが異常に多いのである。ランナーにして実に6枚。そのうち4枚はB4サイズくらいの大きさなのだ。そして上の写真を見て「これを全部作るんですか!?」と思った人は安心してほしい。じつはこれ、全部不要パーツなのだ。
戦闘機のプラモって、説明書の最後に「ここの位置にはこんなミサイルや爆弾を吊るすことができますよ」というガイドが載っていることが多い。せっかく金を出して買ったプラモなのであまり無駄にしたくないし、あれもこれも乗せたい……となるのはわかるが、戦闘機にも吊るせる重さに限界というものがある。まずはインターネットで実際に飛んでいる飛行機の写真を検索して、「この吊るし方かっこいいな!」というのを選ぼう。
さらに、ヒコーキ模型に武装を吊るすにはラックとかそれをくっつけるパイロンを作るとか、さらにそれを接着するための穴をあらかじめ開けるとか、いろいろと下ごしらえが必要だ。最初から「何を吊るすか」を決めておくと、余計な作業をしてから「え、これやらなくてよかったじゃん」みたいなことが防げる。
そしてエグいのが「爆弾とかミサイルにはめちゃくちゃ注意書きが入っている」ということ。地上で人間が変なところを持ってぶっ壊したり、落として爆発させたりしたら大変なので、たしかにしつこいくらいの注意書きは必要だ。それにしても多すぎる。爆弾とミサイルを作って塗装してデカールを貼って……というのは戦闘機をひとつ作るのと同じくらいの集中力と忍耐力が必要なのだ。怖すぎ〜。
反復する工程が苦手というのもあり、まずはスーパーホーネットの前に吊るしものを5つやっつけた。敵戦闘機と戦うためのAIM-9Xと、目標施設を破壊するためのGBU-24が2発ずつ。そしてなにより、「TOP GUN」の文字が入ったドロップタンクがイカしすぎる。山登りで言えば、疲労困憊で頂上が見えてああしんどいと思ってからのひと登り(ここがいちばんキツい)を先に終わらせておいたようなもの。この先は楽しい楽しい「戦闘機を作る仕事」が待っている!
それにしても代表的なミサイルとか爆弾を食玩とかで塗装済み完成品にして商品化したらめっちゃ売れるんじゃないかと思ったりしながら、今日も元気に作りました。ということでみなさんも飛行機のプラモデルは最初に吊るすものをやっつけましょう。モチベ、上がります。
模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。