ミニ四駆ファンを驚かせた「令和のスーパーアバンテ事件」について書き留めておこう。

▲1/10スケールRC「スーパーアバンテ」

 伝説的名車「アバンテ」の名を冠するモデルは毎回そのデザインが賛否の嵐にさらされることになるのだけれど、今回の「スーパーアバンテ」はいつものソレとはちょっと違ったね。スタイリング以上に、そのネーミングに古参のミニ四駆ファンはひどく狼狽したんだ……。

▲ミニ四駆ユーザーにとってスーパーアバンテといえばコレだった(写真はバリエーションモデルの「スーパーアバンテRS」)。

 なぜならミニ四駆では既に1995年に「スーパーアバンテ」という名前のマシンがラインナップされていたから。ご覧の通り、既発のミニ四駆「スーパーアバンテ」と、今回新たにミニ四駆になったRCカー「スーパーアバンテ」は名前こそ同じだけど全く別のマシンなのである。

▲スーパーアバンテのエピソードは漫画単行本2巻に収録。今は電子書籍も出ている。

 ミニ四駆ユーザーの中でもスーパーアバンテにとりわけ思い入れの強い第二次ブーム(1994~1997年)世代のショックは大きかった。第二次ブームの聖典ともいえる漫画「爆走兄弟レッツ&ゴー」の物語においてフルカウルミニ四駆の先祖にあたる重要な存在だったからだ。「RCカーのスーパーアバンテがミニ四駆化したら、元祖とも言えるミニ四駆のスーパーアバンテ(1995)が無かったことにされてしまうんじゃないか……?」

 なんてことは杞憂で、タミヤのRCカーはミニ四駆化される際に名前の末尾に「Jr.」をつける慣習がある。今回発売の「スーパーアバンテJr.」も、その習わしのおかげで既存ラインナップの「スーパーアバンテ」と区別がついてめでたしめでたし……。と思いたいのだけれども、そうもいかない…まだまだ不公平だ!スーパーアバンテJr.はずるい!スーパーアバンテ(1995)がかわいそうだ!

▲ミニ四駆からRCモデルにスケールアップした、通常とは逆パターンの例「エアロアバンテ」。ミニ四駆とRCで全く同じ名前。

 何がどう不公平なのかというと、もうひとつ説明を足さなければならない。先述の通りRCカーを元にミニ四駆化するマシンは末尾に「Jr.」をつける、最初からミニ四駆としてデザインされたマシンの末尾には「Jr.」はつけない。ここまでの慣習についてはもう大丈夫だね? ところが、逆にミニ四駆を元にRC化した場合に末尾に何某かの略号をつけるルールは存在せず、そのままの名前でRCモデル化するのが通例なのだ。

 そうなるとつまり……「ミニ四駆のスーパーアバンテ(1995)が万一RCカーとなっても(全く違う出自を持つRCカーの「スーパーアバンテ」が生まれてしまったので)スーパーアバンテを名乗るポジションはもう埋まってしまっている!カワイソス!不公平だ!」という話なのである。そうはいってもこの20余年、ミニ四駆のスーパーアバンテ(1995)がRC化するなんて話はいっさいなかったので「わざわざ今更ツッコむことなの?」と言われれば身もフタもないのだけど、違うのだ、そうじゃないのだ、元祖スーパーアバンテはこっちなんだい!そこんとこをこれからもヨロシクしたいのだ!忘れて欲しくない大事なことなのだ……(個人の感想です)。

 かくして2022年6月、レーサーミニ四駆「スーパーアバンテJr.」発売。発表時に狼狽えたファン(含む自分)も今では歓迎ムード。結局みんな新マシンは嬉しいからね!(ゲンキン)早速改造を施してみたり、新旧スーパーアバンテを並べて記念写真を撮ってみたり……別に何も変わりはしない。こうやって新マシンの登場に一喜一憂しながらミニ四駆の歴史が続いていくのだ。

 それでもこの一連のささやかな騒動(?)を「令和スーパーアバンテ事件」として記憶に留めておきたい。ミニ四駆史の中でアバンテの名はまたひとつ伝説を増やしてしまったのだなという感慨とともに……。そしてミニ四駆は今日、シリーズ誕生40周年を迎えた。

HIROFUMIX
HIROFUMIX

1983年生まれ。プラモデルの企画開発/設計他周辺諸々を生業にしています。