ハセガワの「転換点」に生きる僕らの喜びを。/いすゞ ジェミニ ハンドリング バイ ロータス

 現代の腕時計、という文脈で「カシオ」の社名から思い浮かぶのはG-SHOCKだと思う。実際は「カシオ計算機」が正しい会社名であり、その名の通り機械式計算機や電子計算機を作る会社であった。
 私がスケールモデルを作るか作らないかという状況だった頃、友人がそういった類のホビー全般を扱う会社に入社した。同じ駅からそれぞれの会社に出勤していたこともあり、朝に駅で会うこともあった。

「そういえばさぁ、俺、飛行機のプラモデルを作りたいんだよね」

 そう言った私に友人は「やっぱり飛行機ならハセガワかな」と返してくれた。当時は知らないメーカーであったため「飛行機のハセガワ」というフレーズはすぐに頭の中にインストールされた。

 ところが、どうだろうか。1/24 いすゞ ジェミニ (JT190) ZZ ハンドリング バイ ロータスを作ってみると、ハセガワは飛行機で築き上げた功績とはまた違った一面を僕に見せてくれた。確かにハセガワの飛行機は私もたくさん作った。「これこれ。これだよ」とハセガワの良さを存分に味わった。

 ただ、その後ろで気づいたら「飛行機のハセガワ」を覆い隠さんばかりに「車のハセガワ」が成長しているのだ。電卓よりも、時計の方が有名になったカシオのように。

 組み立てやすく、形になるスピードも早い。そこからじわじわとディテールをはっきりさせる執着心のような細かなパーツがくっつく。ただ、それすらも貼り付けやすく、一歩一歩が楽しい。しかも、このジェミニに関していえばボディやシャーシのプラスチックの色がブリティッシュグリーンなのがさらに良い。

 色も塗らずに完成させた姿は「佇まいの良い車がシャキッとそこに置かれている」という感じがとても気分が良い。緑色のプラスチックがダンディな雰囲気を醸し出しつつも、プラスチック特有の軽薄な素材感がかえって爽やかだ。そのくせ透明感が抜群のクリアパーツでしっかりと実物らしい表現がされているライト周りと、メリハリが効いている。まさに「精巧な模型そのもの」なのだ。

 「とりあえず、塗らずに作ってみるか」と作ったジェミニには実車らしさとは別の「模型は模型」といったように、自ら線を引いて、立場を表明する気高い執事のようなそんなプラモデルであった。「こんなに良い車のプラモデルを作るなんて!」と驚きはもちろんある。ただ、それ以上に「Gショックのカシオ」のように「車のハセガワ」にブランドイメージが変わるかもしれない時代を生きて、自分がそのプラモデルを作っているということが、とても楽しい。

クリスチ
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。