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本場直送で味わう新鮮なスピットファイアのプラモデル/エアフィックスのMk.XVIII

 10代の頃、プラモはさておき『ハリー・ポッター』シリーズに熱中した時期がありました。その頃の同シリーズは、イギリスでの発売から約2年のタイムラグをもって日本語版が刊行される状況。当時の最新巻を読み終えたわたしは、「早く続刊が読みたい! イギリスではもう読めるというのに……。」などと、英語もろくに読めないくせに原書版に想いを馳せたものでした。

 そして2022年。『ハリー・ポッター』からは遠ざかったものの、プラモには再び熱中しています。現在ひいきにしているのは、奇しくも同じイギリスの老舗メーカー・エアフィックス。このたび、その大好きなメーカーから、大好きなタイプのスピットファイアが発売されることになりました。嬉しい!

 しかし、近年のエアフィックス新製品は、(コロナ禍の影響でしょうか)日本での発売が概ね本国の半年~1年遅れになっているのです。ううむ、『ハリー・ポッター』の新刊を待ちきれなかったわたしが、エアフィックスの新作を1年も待てるでしょうか。イギリスのモデラーはもう組み始めているかもしれないのに。

 ……幸い、プラモには翻訳の必要がありません。そんなわけで、現地から直接仕入れることにしたのです。

▲異国情緒あふれる、10年以上前から変わらぬハナンツのUI。これが英国流なのかしら?

 利用するのは、イギリスにある有名模型店・ハナンツ。プラモ通販の話題では筆頭にあがる老舗のひとつです。サイトの表記は当然すべて英語ですが、購入の流れはいつものAmazon.co.jpやヨドバシカメラとそう変わりません。目当てのプラモをいくつかカートに放り込み、エイッと会計。

 2日後、メールで送られてきた荷物追跡番号を叩いてみると、ハナンツのあるローストフトからロンドンへ向かっている最中のようです。わたしのスピットファイアが遠くイギリスで移動を開始しているのか……と、地球の反対側を想像する時間も楽しいもの。届くまでの間、照会画面を何度も何度もリロードしていたのは内緒です。

 それから1週間ほどで、荷物が届きました。ダンボールの中から今回の主役を探し当て、待ちに待ったご対面です。

 このMk.18は、筋肉質なグリフォンエンジン型を搭載しているけど優美な楕円翼をあわせ持つスキマ需要なタイプです。1:48のスピットファイア F.Mk.XVIII。待ちこがれた新製品が、早くもこの東京の自室にある幸せ! これを手にしているひとは国内で他にどのくらいいるのかな……などと考えると、優越感にも似た不思議な感覚で満たされます。

 せっかく入手できたのですから、手早く組み上げてしまいましょう。

▲彫刻ばりばりの主翼下面がまず目に飛び込むよう箱に入っていました。ガッツポーズ。

 キット内容は2019年リリースのスピットファイアMk.XIVとほとんど共通で、今回いくつかの新規パーツを追加したもののようです。傑作と名高い元キットの評判通り、小気味よく嚙みあうパーツを合わせていけば、すいすい組みあがります。

 このキット、過度な精密さよりもFUN TO DRIVE志向な印象で、神経質な箇所が極めて少ないのが特徴。全体的に彫りが深いのがありがたく、足元にガッチリ食い込む砂利道をぐいぐい登っていくような作業感覚です。安心してゴシゴシ塗ったり擦ったりできると馬力が出ますよね。

▲パワフルな胴体と優美な楕円翼の組み合わせ、スズメバチのような機首のストライプが気に入っています。

 パパッと完成。もしかして国内初完成だったりしますか? 日本人初登頂? その真偽は確かめようがありませんが、とにかくちょっといい気持ちです。

 そんなわけで、『ハリー・ポッター』の原書を読めるほどの英語力は全く身についていませんが、プラモを本国から仕入れる術は身につけたことを、10代当時のわたしに誇りたいと思います。

 そうそう、「先にイギリスから直接取り寄せちゃうなんて、いつものプラモ屋さんに申し訳ないかな~」なんてことも、実はちょっと考えていたのです。しかし、それは杞憂になりそうです。だって、こんなに楽しいキット、店頭に並んだらもう一箱買っちゃうと思いますから。

<a href="/author/deguchibuna/">出口ぶな</a>
出口ぶな

1993年生まれ、会社員。週末DTPオペレータ。プラモは2日間で完成させたい派。

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