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プラモで楽しむ制服着こなし図鑑/タミヤのドイツ国防軍 戦車兵セット!

 どんな戦車にも合わせられてしまう超ユーティリティな人形である上に「タミヤの3Dスキャンがめっちゃスゴイぞ!」と言われ新発売のときに購入。ずっと持ってたけどようやく組むことにしたぜ。それにしても君、イケメンやな。フィールドキャップ(略帽)と一体で成形されたC-6のパーツと全く同じ表情でC-7の顔面パーツがあり、「ツバ付きの将校キャップを被ったバージョン」にも組めるというのがデジタル時代のプラモだなー!という感じがしますね。

 このプラモの見どころは左の襟です。すごいニッチだな。というのも、なんで胴体の前面が不定形にえぐれてるのか不思議じゃないですか。これ、ジャケットの襟がゴワっと膨らんでいるのを表現するために別パーツになっているんですよ。たしかにウールのジャケットを着て腕を前に出すと体から襟が浮いて内側に空間ができる。布の質感というのは単にシワやテクスチャだけでなく、体の動きに合わせてどう動くかで「硬さ」も表現できるんだということは、言われて(こうやってカタチにされて)初めて気が付きますね。クレバーだぜ。

 このセットに入っているのは全部で8人。「戦車兵」なので、戦車と合わせて遊べるいろんなポーズのフィギュアを楽しめます。上の写真は立っている二人。「士官1」と「兵・下士官1」というキャラです。戦車の外(ないし上)に立っていて、双眼鏡で周囲の状況を探っています。凛々しい顔、上半身のいろんなところに彫刻された勲章たちが「エラい」ということを伝えてくれます。しかし1/35(全高6cmくらい)には見えないほど生々しい造形で、大変楽しい。貼って置いとくだけで動きそうです。

 これは座ってる二人。「兵・下士官2」と「士官2」です。ツバ付きの帽子をこんなふうにぐしゃっと潰して被るのが「着こなし」のひとつだったんだな、と語りかけてきます。オレは軍装にぜんぜん詳しくないんだけどもじっくり見ていると「同じ制服なのにみんな違う着方をしているな!?」ということに気づくんだから、このフィギュアがひとつの軍装着こなし図鑑になっているところが偉い。
 そして地面に置いた地図を指差しながらふたりは何やら会議をしています。この交差点に敵の戦車がいたらめんどくさそうだな、とか、ここの味方がやっつけられないように横から支援したろ、とか、そんなことを話しているのでしょう。ふたりとも膝の上に腕を乗っけているのですが、ちゃんと膝に当たる部分の袖がくぼんでいるので肩口に腕を接着すると導かれるように腕と膝が密着するのが組んでいて楽しい。組んで。

 そして埋まってる四人……ではなく、彼らは戦車に搭乗しているので戦車のなかで見えなくなっちゃう部分は造形されていません。後ろの車輌に向かって指示を出すやつ、周りを眼光鋭く見守るやつ、正面を見据えて黙っているやつ……。どれも腕の位置が「ここに戦車の天井がありまっせ」というのを示しているから、フィギュアしかないのにそこに車輌が見えてくる。体重がちゃんとかかっている。いちばん右のやつは冷泉麻子的なポジションとして「戦車の前の方にあるハッチから頭だけ出していて半分寝てそう」みたいなポーズなのも良い。

 ところで俺たち、なんでカラフルに染まってるんですかね!? ということで、彼らの造形がより際立つように塗料を流してみました。何をどう塗っているの?というのはこれから始まる短期集中連載で要チェック。こんなふうにバリバリ組んでお好きな色に染めておくだけでも、机の上がカラフルな生人形カーニバルになるのが良いのです。それぞれ芝居がナチュラルかつわかりやすいので、戦車模型に限らず「好きなものの横に置くだけ」でもいろんなストーリーが生まれますよ。まずは貼るだけ。じゅうぶん、楽しい。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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