水で薄めるのも洗うのもオッケー、ハイコントラストな塗装が筆一本で変幻自在に楽しめる水性塗料、「シタデルカラー」にはシェイドと呼ばれるシャバシャバの塗料があります。その名の通り、模型の凹んだところに流し込むように乗せて「影(SHADE)」を演出するための塗料として重宝します。そしてこの夏、一気に7種の新色が加わります。
……ということで短期連載、「シタデルシェイド夏の新色2022」の5色めはクロォク・グリーン(kroak Green)です。「シェイド」っつったらなんか暗くてドヨドヨと沈んだ色だとばかり思っていた我々にとって、このグリーンはもう青汁かっていうくらい鮮やかなグリーン。「シェイドと言ってもむやみに暗くしない、今年の夏は、鮮やかに行くぜ!」というゲームズワークショップの決意が見え隠れしていますね。隠れてないか。
人間ってそもそも緑色を細かく分類しがち。赤や青よりもより微細に、微妙な色合いの変化にいちいち名前をつけたりします。植物の発育とか食べられる食べられないといったファクターに直結するからでしょうか。しかしウォーハンマー世界における「緑のシェイド」はいままでふたつしかありませんでした。「ビエルタン・グリーン」と「アソーニアン・カモシェイド」というのがそれで、前者はわりと真っ直ぐなグリーン(めっちゃ暗い)、後者は効き目が穏やかすぎてパンチに欠ける、というのが個人的な印象でした。どっちも基本色を濁らせるしね。
今回追加されたクロォク・グリーンの色調は黄味を帯びた美しいライトグリーン。かなり鮮やかなので、ライトグリーン、ホワイト、イエロー、そしてクリーム色など幅広いレンジの下地塗装にマッチします。薄いグリーンにパリッとした影を入れるのにいいでしょうねこれは。
白い下地塗装の上にクロォク・グリーンをさっとひと塗り。オリーブドラブの上からでは目立たなそうですが、明るい色の上なら凹んだところに鮮やかなグリーンの影が入ったように見えるでしょう。凸部分の染まり方はかなり弱いので、影部分だけを強調してグリーンをブーストするのに向いてます。みなまで言うなって感じですが、ザクに合いそう……。
左から新シェイドの「ポクス・ウォーカー」、今回ご紹介した「クロォク・グリーン」、そして「モータリオン・グライム」です。どれも緑系ですが、左のがビリジアンだとしたら真ん中のは草色。そして右のはオリーブとかカーキと言われそうな色ですが、冷静に考えたらこれもう茶色だよね。
……ということで人間が「緑」って言いそうな色はわりと青みたいなゾーンからほとんど茶までめっちゃ幅広い。グリーンを制するものはミリタリーモデルを制すると言っても過言ではありません。兵士のフィギュアを塗ってむやみやたらと影色を入れた結果なんだか真っ暗になってしまっていたなぁ……というそこのアナタ!強力な援軍がそこまで来ていますよ。そんじゃまた、次の色で会いましょう!
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模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。