水で薄めるのも洗うのもオッケー、ハイコントラストな塗装が筆一本で変幻自在に楽しめる水性塗料、「シタデルカラー」にはシェイドと呼ばれるシャバシャバの塗料があります。その名の通り、模型の凹んだところに流し込むように乗せて「影(SHADE)」を演出するための塗料として重宝します。そしてこの夏、一気に7種の新色が加わります。……ということで短期連載、「シタデルシェイド夏の新色2022」の最後はモータリオン・グライム(Mortarion Grime)です。見るからにボトルの中身が汚い!お店に売られている液体で「汚い色」ってなかなか見ませんよね。
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プラモデルの汚し塗装というと「汚れそのものを模した色を塗る」ってのが一般的。泥汚れなら泥の色、オイル漏れならオイルの色を模型に塗るわけですね。シタデルカラーではナルン・オイル(Nuln Oil、黒系のシェイドカラー)やアグラックス・アースシェイド(Agrax Earthshade、茶系のシェイドカラー)が汚し塗装に重宝されてきました。そして今回公式もおっしゃるとおり「モータリオン・グライムは、あなたのモデルに不潔さを加え、戦場で目立つための新たな方法を提供します」というプラモやらない人からしたら何じゃソレって感じの塗料が登場したっつうわけ。
何て言えばいいんでしょうね。緑といえば緑。茶色といえば茶色。オイル漬けのオリーブみたいな色です。そもそも色の名前に付いている「モータリオン」というのはウォーハンマー40Kの世界における疫病と腐敗、渾沌のもたらす歪んだ力によって完全なる怪物と化したデスガードの総魔長キャラ。緑色のアーマーから内臓がはみ出し、ウジが湧いているのがめちゃめちゃカッコイイ。
この腐敗感あふれる汚れ色がモータリオングライム(っていうかいままでデスガード用に調合されたシェイドカラーって存在なかったんだ……)。とうぜん黄緑色の下地の上に塗るという本来の設計通りに使ってもいいわけですが、なんとシルバーメタルや明るい骨の色にもよく似合うという触れ込みなんですよね。結局なんのことはない、「どこに塗ってもいい感じに汚くなりまっせ」ということなんです。すごくないすか?
白い兵士にサッとひと塗り。凹凸の乏しいところにはほとんど影響を与えず、凹んだところにだけ色が溜まって自然な陰影ができています。新シェイドカラーに共通した、鮮やかに影色を入れられるという特徴はこの色にも共通。こうしてみると、グリーン系、カーキ系のミリタリーミニチュアにはマジで合うことが確定しております。
ビリジアン系、黄緑系、そしてオリーブ系と緑のレンジがぐっと広がったシタデルの新シェイド。さて、これを使い分けてなんかプラモ作りたくなってきましたね。ということでみなさん、新しく生まれた「影を入れる色」達をうまいこと使い分けて遊んでください。黒や茶色だけではない、色彩豊かなコントラストの海に飛び込みましょう。そんじゃまた!
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模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。