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タイタニックと山水画!? デフォルメと成型色で不思議な世界をパッケージしたプラモ

 もし、沈んでしまったタイタニックが中国へ航海していたら……。

 というわけで、SUYATAのタイタニックの山水画ジオラマセットのプラモデルの話だ。よく考えたら、タイタニック号は「デフォルメされた乗り物」としてプラモデルの中で同様の手法を用いたものを見かけることができる。では山水画ジオラマの方はどうかというと、こういったものを見かけることはそうそうないのではないか。

 山水画の風景を再現するためのパーツは驚くくらいに山であるし、かといって過剰に奥行きを感じさせるものではない。

 小さな島の集合体か? と勘違いするような木々のパーツ達は山の前後に配置される。木々は奥行きを感じさせるための重要なパーツで、突き刺すだけで風景がガラッと良くなる。それに、平面の絵と立体のプラモの違うところとして、影が落ちるという機能がある。そのおかげで、絵とは違う説得力が生まれている。

 組み立ては、本当にすぐに終わる。その割に出来上がるものは奇想天外な見た目で、驚きは想像以上だ。

 それに、ポンと置いてみると、セットとしての機能が思ったよりもずっと意味のあるもので面白かった。タイタニックそのもの以上に、お互いが配置されて初めて現れるインパクトや見た目の面白さがあって「じつは山水画のパーツ群たちこそが主役だったのでは?」と錯覚してしまう。それくらいに山水画のプラモデルは私の心を掴んできた。

 「すごいなー、すごいなー」なんて言いながら完成した情景を眺めていると、気づいたことがある。タイタニック号と山水画はエメラルドグリーンの成型色が架け橋になっているけど、他の色は異なる色で構成されているので、成型色ではっきりと主役と背景の関係性を表現しているのだ。

 タイタニック号と山水画という、あり得ない組み合わせをデフォルメの手法を用いて、ひとつの世界観にパッケージする力技はプラモデルの面白さだ。ただ、それに加えて、成型色の工夫で全体の調和を図るどころか、主従の関係をしっかりと示している点に「これは相当センスがあるな……」と思わず唸ってしまうプラモデルだった。

 ちなみに木々などを表現するためにシールが付属していると思ったら、キットに入っているのは水転写デカールでした。このままでもかわいらしいので、しばらくしたら貼ろうかなと思う。

クリスチのプロフィール

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。

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