ベストパッケージなマックス&ミリア機で考える、「プラモの難易度」の話。

 ふだんあまりデフォルメもののプラモを作らない私が、このパッケージにはイッパツでノックアウトされちゃったのである。ハセガワが展開する「たまごひこーき」版のVF-1Jバルキリー “マックス&ミリア”でございます。ふたつの機体がセットになった豪華なアイテムだけど、値段はお手頃。イラストの「かっこかわいい」雰囲気に騙されないようじっくり眺めると、構図の取り方、光線の入れ方、背景の処理も含めて抜群の仕上がりですねこれは。

 箱サイド、左右で色違いなのがとってもいいじゃありませんか。お店で見るのはプラモの中身や完成形ではなく、あくまでパッケージでしょ。「2機セット」とちゃんと表記した上でそのイメージカラーをバシッと押し出すという目的のためにきちんと施された”デザイン”がここにはある。組み味軽いたまごひこーき版だからこその2機セットというのは、それだけでまず嬉しいもんです。

 青いマックス機と赤いミリア機が同梱されたプラモというのは過去にハセガワの1/72スケールで発売されたことがあるけど、それ以外は白いプラスチックが1機ぶん入っていて「自分で赤か青に塗ってね」というユーザー丸投げ型のアイテムがほとんど。シャア専用ザクが白いプラモだと結構驚くと思いますが、スケールモデルの世界では「塗ることが前提」というのがまずあったりして、プラモって不思議な遊びだ。

 パッケージを開けると飛び出てくるのは青と赤のプラスチック。やったね。それぞれにかなりバキッとした発色で、透け感もまったくなし!良い発色のプラスチックは、さらに嬉しくなるポイントです。およそVF-1になるとは思えないようなゴロンとしたパーツだけど、着陸脚のパーツは開閉選択式になっているなど飛行機模型としてのプレイバリューにもしっかり目配せされていてGOOD。

 デフォルメされたことで大きくなるコクピットが空っぽではおもしろくない!そこに据え付けられるのは機体と同じようにデフォルメされたパイロットでございます。前後割りになっているけど、とてもいい造形で特徴をよく捉えているじゃありませんか。

 組み始めてから知ったんだけど、このキットは接着剤不要なんすね。パーツを切り出してバチンバチンとハメていけばカタチになる。ただ、このままだと真っ青なのでちょっと味気ないんだ。

 機体のマーキングを再現するために入れられているのは水転写デカールです。しかも「リアル版」のバルキリーとほとんど変わらない物量と細かさで、ここまで見てきた製品の仕様と大きな落差があるように感じます。

 さらにこのデカールを貼るだけでは設定どおりにならないため、塗装指示もわりとハードコア!青と赤の成型色がきれいなプラモではあるけど、おそらくベテランモデラーはこの指示を全うしようとすると合わせ目を処理して下地塗料でグレーに覆ってしまい、マスキングテープを駆使しながら細部塗装をするはず。それではプラスチックに付けられたキレイな色がちょっともったいない。

 もちろんそういうプラモの作り方は「王道」だし、ここで否定するものではありません。だけど、特別なツールやマテリアルを使わずに簡単に組み上げられるオーラをまとったキャラクターモデルとして、(さらに成型色がここまで素晴らしいものであるならば)マーキングをペタペタと貼るだけである程度再現可能なステッカー仕様も展開されると素晴らしいと思うんですよね。

 ステッカーを選ぶか、デカールを選ぶかはユーザーの作り方に大きな影響があるし、メーカーにとっては作業量やコストに直結するので安易に選択できない問題です(また、ものによってはステッカーより水転写デカールのほうが少ない手間になることもあると思っているから、一概にどっちが「初心者向け」などと決めるのも難しい)。異なる手段を同梱するのか別売りするのかという問題は残るけど、ハセガワのアイテムに限らず「ユーザーが自分の作り方を選べるプラモ」がもっともっと増えることに期待したい、と思う一品でした。

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からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。