飛行機プラモ界の3機合体!? 超精度で組み味抜群のタミヤ製ライトニングを楽しもう。

 伸びやかな翼の真ん中にはコクピット。左右に突き出すエンジンの後ろにもふたつの胴体があって、後ろの水平尾翼でそれらが繋がった独特のスタイル。P-38って本当にカッコいい飛行機だと思うんだけど、見るからにプラモで作るのは難しそう。半分に分かれた胴体をパカッと合わせてから左右の翼を取り付ければほとんどの飛行機がカタチになるけど、胴体が3つある場合は……さてどうしよう。

 じつはこれまでもたくさんの模型メーカーがこの課題に挑んで、組みやすさを取るかスタイルの正確さを取るかで悩ましい思いをしてきました。そしていまから3年前、タミヤが「正解」と言って良いP-38のプラモデルを発売し、これまででいちばんの組みやすさを備えながら、ビシーッとこの飛行機のスタイルやディテールを正確に再現することに成功したのです。

 組みやすいとか正確だとかは、現代のプラモデルにおいてほとんど当たり前に要求されることです。しかしこのプラモはその次元が頭ひとつ抜け出しているように感じます。P-38という不思議なカタチの飛行機なのに、まるで組み立てに狂いの出るところはありません。説明書の言うとおりに順序よくパーツを貼っていくと、空中で行き先を失っていたパーツがあとからとんでもないところでビシッと他のパーツを掴み、あるべき場所に固定してくれます。まるでサーカスの空中ブランコを見ているよう。

 プラモで同じ工程を二度繰り返すのはあまり楽しいものではありません。しかし、このプラモは右の胴体を組んだ後に「またこの幸せをもう一度味わえるのか!」と思いながら左の胴体の組み立てに入っていきます。それくらい、組んでいるのが心地よい。

▲パーツの周囲が複雑な輪郭をしていますが、これらが噛み合わさることで箱状のユニットもカチッと組み上がります。

 それからもうひとつ、ふつうならプラモのパーツというのは片面が完成後に見えるところで、もう片面はリブやピンが立っていて、ぶっきらぼうなカタチをしているものなのですが、このプラモは表にも裏にも彫刻の入ったパーツがたくさん入っています。機体の内側と外側にそれぞれ存在するディテールをしっかりと表現するために、パーツの表裏という概念に囚われない設計をしているのがわかります。

▲三本の胴体をつなぎとめる主翼の内側には巨大な桁が用意され、それぞれの角度をしっかりと決めながら完成度の強度を保持してくれます。
▲奥まった場所に貼るパーツには、しっかりと持ち手が設けられていて組やすさにも配慮されています。

 実物のP-38は前脚式で、ふたつの重たいエンジンが入っています。しかしプラスチックで出来た模型はどうしても重量バランスが実機と違うため、素直に組み立てると前脚が宙に浮き、尻もちをついてしまいます。これを防ぐためには、ユーザーがオモリを買ってきてエンジンの重みの代わりに機首の中に入れなければいけません(じっさい、説明書にこうした指示が書かれた製品はいっぱいあります)。

 タミヤのP-38には大きめのスチール球が3つ同梱されていて、3つの胴体の前方にわざわざこれがピッタリと入る場所が用意されています。箱の中のものだけでしっかりとカタチになり、入れるべき場所に入れるべき量のオモリが入っているというのは、本当に素晴らしいことです。正直、この「オモリを入れる儀式」を味わうためだけにこのキットを買ってもいいくらい、感心するポイントだと言えます。

▲もちろんディテールだって感動的な細密さ。少ないパーツ数で、みごとにコクピットが再現されています。

 組み上がってみると、目の前に段差もスキマも角度の狂いもまったくないP-38が出現します。これまでタミヤからはF/G型、限定品のH型が発売されましたが、個人的に本命だったJ型がこの夏に発売されます。F/G型から大幅にパワーアップし、各部のユニットが大型化したことでとてもマッシヴなアウトラインになることに加え、飛行機が飛行機らしく見える銀色の機体を作り上げることができる日がいまから本当に楽しみです。

 もしタミヤのP-38を入手済みであるなら、こんなふうにバチッと組んで来たるJ型を迎えるまでの予習に充てることををおすすめします。そしてまだこのキットに出会ったことのなかったアナタは、ぜひともこの機会に好きなタイプのタミヤ製P-38を手に入れましょう。タミヤ製のプロペラが付いたレシプロ戦闘機の模型としては最新作であるライトニング、かなりセクシーで、切れ味鋭い仕上がりです。

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からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。