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車模型との復縁が、僕をモノグラムの伝説へと導いた/アトランティス 1969 シェビー ノバ SS

▲オーナーズクラブが、僕にとってのアメリカへのパスポートになった

 >アトランティス 1/32 1969 シェビー ノバ SS Route 32

 車模型という存在は、プラモを始めてから長い間憧れでした。僕が車模型を初めて完成させることができたのが2019年。当時36歳でした。キットはタミヤのフォードGTです。とにかく完成までひた走ったあの体験は、今でも忘れません。あの時、タミヤの車模型の分割や組み味に唸り、衝撃を受けすぎてしまいました……。そのせいか、その後は車模型に対してパーツ分割や成型色など、テクニカルなことばかりに目が行くようになっていました。作る姿勢も、なんだか小手先の事ばかり考えていたと思います……。そしていつしか、僕の車模型に対する手が止まったのでした。

▲何度も挫折した車模型。僕に初めてゴールを切らせてくれたのがこのフォードGTでした
▲現在のタミヤの車模型とは対極にある存在。手のひらサイズの車模型「1/32スケール オーナーズクラブ」

 nippperのメンバーはとにかく車模型を楽しそうに作っている……そんな姿にアテられて、僕の中でくずぶっていた「もう一度車模型を楽しみたい」という気持ちが、小さな車模型「1/32スケール オーナーズクラブ」を手に取らせました。
 キットは古いもので、モチーフからもプラモからもノスタルジーな香りがします。そこにはひと昔前の普通の模型が収められていました。車模型を完成させることができて、ちょっと調子に乗っていたあの頃の自分だったら、そのまま箱を閉じていたと思います……。
 「このフワリとしたプラモなら正直どう作っても楽しいじゃん」という気持ちと、純粋に「目の前にある車模型を完成させてみたい! 筆1本でこの子のオーナーになってみたい!」という気持ちで食したノスタルジーの煮凝りは、じつに美味であったのでした。

 車模型との復縁を果たした後、毎週土曜日のバントウスペース(TwitterのSpaceという機能で開催されている@bantowblogさんのひとり語り)とバントウさんの記事は、いつも刺激的。楽しい楽しいムシャムシャと言葉を頬張るように聞いていたのでしたが、ついに手を動かさずにはいられない言葉が耳を震わせました。アトランティスモデルというメーカーが、今は無きメーカー・モノグラムの1/32スケールカーモデルを「ルート32」というシリーズにして、当時の金型のまま復活させているというのです。

▲その日のバントウスペースと共に公開された記事。今は無きモノグラムと言うメーカーに対する僕の憧憬が、すべて書かれていました

 多くの人が凄い凄いと言うモノグラム製の飛行機や車のプラモを、僕は作ったことがありませんでした。売っているのを見たことはあります。しかし買って作るきっかけがなかったのです。「きっかけなんて必要ないやい!」という人もいるかもしれませんが、僕はプラモを愛する人の数だけ、買うことや作ることに小さなドラマが必ずあると思っています。僕たちが気が付かないだけで、何かに心を動かされてプラモを触っているんです。そんな僕にモノグラム製のプラモを作るきっかけがついに訪れたのでした。

 MADE IN U.S.A.。このプラモの文脈の全てです。アメリカ人が、かつてのモノグラム社の輝きをアメリカ製で取り戻す……このパーツの鮮やかさは、成型色だけによるものじゃないのかもしれません

 1982年にリリースされたモノグラム製の金型そのままに、2021年に成型されたパーツを今のマテリアルで組み立てて行くことができる贅沢。当時品ではなく、年月を経ていない新鮮なプラスチックで、モノグラムの製品を味わえる喜びに心が震えます。

▲メッキパーツとプラパーツのチリがぴち~っと合ったその瞬間、僕はこのプラモに完全に心を奪われたのでした
▲メッキパーツと鮮やかな赤の共演は、僕とモノグラムの出会いをアトランティスモデルが祝福してくれているかのようです

 なんて最高な景色でしょう。車模型と復縁させてくれた1/32スケール オーナーズクラブと、アトランティスが復活させてくれたことで出会えたモノグラムの1/32スケールカーモデルが、いま目の前にあります。まさに僕のルート32が開通しました。前を見れば、まだ作ったことのないアトランティス(モノグラム)のプラモがあり、後ろを見ればずっとオーナーズクラブの車模型が待っていてくれる! 僕の車模型人生は、これからもっともっと楽しくなると思います!! それはまるで、アトランティスの伝説を追うかのようなワクワクです。

フミテシのプロフィール

フミテシ/nippper.com 副編集長

1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)

 

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