迷ったときのタミヤ1/48ミリタリーミニチュアは、お店と僕たちのハートを繋ぐ最高のプラモだ!!

 エイブラムスを買ってくるはずじゃなかった……。普段行かないエリアで、ふと見つけた古い模型店。店先に置かれた完成品もほどよく日焼けし、店のドアに貼られたステッカーも鄙びた佇まい。「この店なら何かしら掘り出し物がありそうだね~」とつい中に入ってしまう……というのは、プラモデルをやっている人ならそれなりの頻度で発生するイベントだと思います。

 しかしそういう店に限って、商品がちゃんと回転しています。並んでるのは最近仕入れられた製品が中心だし、古いキットもなくはないけど、ちょっと想像と違う。こりゃ先週行った家電量販店の眺めとあんまり変わらないわね……と思ってるうちに、ドアについてるセンサーから出るサウンド(テロレロレロレロレロ……みたいなやつ)を聞いて、さっきまでテレビを見ていたであろう店のおばあちゃんが奥から出てきちゃった。無難に塗料を買おうにもこれといった色をサッと決めるのは難しいし、工具のラインナップも自分の持っているものと同じものが並んでいる雰囲気。さりとて手ぶらでは帰りづらい。これは困った……という経験も、それなりにありがちではないでしょうか。

▲塗装しなくても充分イケてるんですが、今回は「もしこれに色が乗ったら超カッコいいのでは」と思ったので塗りました

 そんな時にオススメなのが、「タミヤの1/48 ミリタリーミニチュアシリーズをひとつ買って帰る」という解決策です。今回作ってみたM1エイブラムスも「鄙びた模型店に行った時の抑え」で買ってきたもの。なんともボンヤリした買い方でしたが、組んでみてビックリ。現用戦車特有のカクカクした装甲の角がバッチバチに立っており、組んだ状態で見るとCGがそのまま立体になったような雰囲気です。

▲1/35のII号戦車よりちょっとデカいくらいなので、取り回しは抜群にいい

 それでいてサイズが小さい。乗せようと思えば手のひらに乗るくらいの大きさなんですが、現用戦車って大砲と装甲とエンジン以外にもとにかくいろんなものを積んでいるんで、1/35だと大きめの下駄みたいなサイズになるんですよね。でも1/48なら、筆とエアブラシを併用しつつ2時間あれば塗り分けが終わっちゃうくらいのサイズ感。むしろこの世の現用戦車は全部1/48で出しなおしてほしいな……と思った次第。

▲足回りの塗り分けも、それなりでいい感じに見えちゃうのよ~
▲1/48スケールの中では大型キットになるので、チッピング塗装もやりやすいです。塗料を染み込ませた台所用スポンジの切れ端とかで、ポンポンスタンプするだけです
▲こんなに小さいのに「エイブラムスに乗ってそうなアメリカ人」のアゴの形を完全再現したフィギュアがついている

 組み立てと全体の塗り分けを余裕を持って終わらせられるので、あとは気がすむまで汚して遊べるのも魅力。車体全体の塗装はエアブラシでやったので、細かい汚れはスポンジやら筆やらでグリグリ重ねていきます。人形まで塗ってのんびり遊んでも、トータル3日もあればそれなりに納得のいく雰囲気になるんですね。

▲完成した姿をもう一度自慢させてほしい!! かっこいいよね!!!

 よく考えてみれば、1/48MMは流通量が多く、専門店ならば割と鄙びた店にも置いてあります。部品はキリッとシャープで吸い付くように接着でき、部品点数も少ないため、接着剤とニッパーだけでもササッと完成。さらに完成後のサイズも小さいので場所を取らず、おまけに現用戦車でも2000円代と価格が安い。「買うものがなかった時の抑え」として、これだけ条件が揃っているシリーズを、自分はほかに知りません。
 また、模型作りには億劫さとの戦いという側面があります。しかし、「やろう!」と思った時に考え込むことなくスルスル組み立てられて、ブーッと塗料を吹いただけでカリカリのCGのような佇まいが手に入り、あとはざっと汚せばもう完成という1/48MMでは、億劫さを感じる瞬間がほぼありません。
 塗装と組み立てを行ったり来たりしなくてもいいという戦車模型特有のアドバンテージもありますが、それにしてもこの喉越しのよさは凄まじい。一回やると病みつきになるし、「今まで一度も戦車模型を作ったことがない」という人でもそれなりに余裕を持ってゴールできるという、1/48MMのポテンシャルゆえのスムーズさだと思います。

 もちろん決め打ちで買ってもこういった良さは味わえるんですが、何も考えずにプラッと買ったときの方が、気持ちのハードルが下がりきっているためより強く旨味を感じられるところがあります。というわけで、今後も「買うものがないけど手ぶらでも出づらいな~」という店に入っちゃった時には、迷うことなく1/48MMを買っていこうと思った次第。「そもそも戦車を作ったことがない」という人でもなんとかなるサイズでもありますし、「手ぶらで模型店から出られない時の心強い味方」として万人にオススメしたいシリーズなのです。

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しげる

ライター。岐阜県出身。元模型誌編集部勤務で現在フリー。月刊「ホビージャパン」にて「しげるのアメトイブームの話聞かせてよ!」、「ホビージャパンエクストラ」にて「しげるの代々木二丁目シネマ」連載中。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。