「確か、この前接客してもらったのはメガネの若い男性の店員さんで……」
そんな風に言われても……。というのも当時働いていた店の男性店員は私を含めて全員メガネ。残念ながらお客さんの「若い」という枠に私は入れなかったようだ。とはいうものの、メガネというのは外見の特徴の一つで、新しい環境に飛び込むと「そこのメガネのキミ」と呼ばれたことがある人もいるのではないか。
そんなメガネを掛けた兵士がプラモデルにはほとんど存在しない。
調べてみると、アフターパーツとしてメガネだけのエッチングパーツ(極薄の金属板でできたもの)がかつて販売されていたようだ。あるいは車体をディテールアップさせるためのエッチングパーツにおまけとして端っこにあったというような話も出てくる。そして、これらの情報と同じように出てくるのが「メガネの作り方」だ。
作り方は、USBケーブルなどの中の細い金属線を利用するようだ。
100円ショップで適当なケーブルを買うと一生分のメガネ用の素材が手に入る。外装のゴムをニッパーで切って中身を取り出す。そして、それを真鍮線などの棒に巻きつけてフレームを作る。片方ができたら瞬間接着剤で止め、もう片方を作る。テンプルと呼ばれる、耳にかかる部分は作るのが難しいので省略した。
このメガネ作りの難しくて面白いところは、真鍮線に髪の毛ほどの細い金属線を巻くところだ。
ピンセットを使用しないと難しいのはもちろんだが、木製ブロックに穴を開けて真鍮線を差し込み、治具を作るとよりうまくいく。そこから巻いた真鍮線の引き上げ方や、「一周じゃなくて二周巻いた方が強度的には安定する」みたいな気づきを得ながら進んでいく時間がとにかく楽しい。
出来上がったフレームはタミヤセメントにつけて引き上げるとレンズができる。
厚くなりすぎたのであれば、ティッシュの端っこで吸い取ってあげれば調整ができる。その後、塗料を薄く塗ればサングラスにもなる。「メガネのキミ」と呼ばれたり「メガネの人」と呼んだりするくらいに特徴的な装身具のメガネ。そのエッセンスを自分の手で作ったものでフィギュアに注入すると「思ったより個性が出るな!」ときっと驚く。
1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。