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作れるように作るプラモ/季節のワーゲンバスを走り抜けて。

 私は美しいクルマにアニメ美少女がデカデカと書かれた、いわゆる”痛車”のプラモデルが持つ圧倒的な見映えに憧れを持っていた。が、なかなか手を出すことができなかった。
 なぜならそれはただでさえ怖い、文字通りチリひとつ許さぬクルマのプラモデルの先に一発の失敗でゲームオーバのでっかいデカール貼りが待っている、綱渡り作業のマシマシチョモランマに思えて仕方がなかったからだ。
 そんな人生に転機が訪れた。 「ハセガワ1/24 フォルクスワーゲン タイプ2 デリバリーバン たまごガールズ ハッピーバレンタイン」との出会いである。

 ふと気づくと時はバレンタインデー直前(制作当時)、せっかくならタイムリーに完成させたかった私は急いで箱を開けた。今を逃せば次の機会は一年後、そんな焦りが痛車プラモへの恐怖に打ち勝ったのである。
 もはや私の心を支配しているのはいかに早く完成させるかの一点でだ。とにかく工数を減らすため「ボディーのピンク色は成形色(もとのプラスチックの色)のままやってしまおう!」という重大な決断も、あっさり脳内審議を通過してしまった。
 思えばこれが鶴の一声だった。
 プラモデルを制作する上で向き合うスタイルを決めることは、「作業場でどんな自分を演じるか」ということに似ていると私は思う。
 アラの一つも許さぬ頑固者の自分。これだ!という決め手を見つけるまでリテイクを重ねる自分。いろいろな選択肢がある中で「とにかく速度感を重視する,ベンチャー社員みたいな自分」を自然と選んでいた。
 そこからはあっという間だった.

 滅多に使うことなく、苦手意識すらあったマスキングゾル(液状のゴムみたいなのを塗ると乾いて膜ができるやつ)もノータイムで使用。なぜならうまくいけば圧倒的タイム圧縮だし、もしダメでももう気にしないマインドだから……。

 怖がってたデカールも案外簡単に……というわけにはいかなかったが、まぁまぁなんとかなった。この「案外チョロいな」と「やっぱりムズイな」が混ざり合った奇妙な感覚は、躊躇していたものへ一歩踏み出した人にしか伝わらないと思う。

 なんだかんだ、2/14には数時間足が出たけど完成できた。
 作品自体への満足や短期間にいろんなツールを使う面白さもそうだし、憧れであり、超心理的ハードルの高かった痛車プラモを俺が作った!という達成感がすごかった。こんな感覚は人生でも久々かもしれない。
 「”心”を”亡”くすと書いて”忙”しいと読む」なんて悪く言う人もいるけれど、それがネガティブな心をも取り去るのなら、たまにはそんな気持ちにとらわれるのもいいかもしれない。そんな風に思える体験だった。

マニアーーーのプロフィール

マニアーーー

ミサイルとasimoとチャットbotは全部同じロボットに見える1996年生まれのサラリーマン研究者(工学)

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