

様々な業界で囁かれる慢性的な人手不足。労働力としてのAI・ロボットへの待望論。耳をすませばディストピアSFの世界がガッシャンガッシャンと足音を立てて近づいてくる気がする2022年1月。そんな時、私はハセガワのプラモデル「マシーネンクリーガー ヒューマノイド型無人邀撃機 グローサーフント 1/20」を組んでみたくなったのです。ガッシャンガッシャンと箱の中から音がした気がして。
マシーネンクリーガーシリーズ、雑誌やネットで見かけてはいたのですが組み立てるのは初めて。約900年後の地球を舞台にした、ちょっと影のありそうな世界観。その片鱗に今、触れてみたいのです。そして何よりプラモデルは巣篭もり趣味に最適。

パーツは黒に近いダークブラウン一色。黒光りして綺麗です。クリアパーツも一部付属しています。そしてランナーを見て確信しました。グローサーフントは、ヌメっとした曲線の装甲からチラ見えする、ガチャガチャした細かなパーツ群が、私の血を滾らせるロボットであることを。

トリの脚のような、多関節脚部。ヒトのようで、ヒトならざる構造のロボット。燃えます。そしてこれは完成したときにわかるのですが、このトリ脚のお陰で重心をとりやすく、かなり安定して2足で自立します。驚きました。

ナットのパーツが使いきれないほど付属しております。指定取付箇所は10数箇所ですが、自由に機体をナットだらけにすることが可能です。板についているナットを切り出すのに、両刃で先が細くて底がフラットな、グッスマの極薄刃ニッパーがとても便利でした。



様々な太さのパイプやチューブが、メカメカしさを演出します。小さなナットの取り付けもそうですが、多種多様な形状の部品を切り貼りしていくうちにどんどん密度が高くなっていき、ちょっと面倒だと感じながらも気分は徐々に高まっていきます。手が止まりません。

無骨さ。不気味さ。アンバランスな四肢。機械的彫刻の複雑さ。装甲のなめらかさ。協和と不協和が織り成す、情報過多なアンサンブル。それが2本足で立ち上がった時、電撃が走りました。私の脳に。グローサーフントの電子回路に。炉には火が入り、動力はゴンゴンと唸りをあげ、メラメラと排熱が始まり、関節のモーターはキュルキュルと高周波を鳴らし、センサーカメラはジャキジャキと焦点を合わせ、サーチライトがビカビカと光り始めたのです。「オマエハダレダ……!」なんということでしょう!

付属の解説書には、グローサーフントにまつわる様々なエピソードが散りばめられています。無人兵器部隊の頂点を極めた機体であったとか。AI損傷によって度々暴走を起こしたとか。戦略的価値のない小島をを防衛している所属不明機があるとか。停戦後に小さな遊園地で子供たちに風船を配る機体が目撃されているとか。
恐ろしいほどに想像力を刺激するパッケージです。「この世界は想像次第なんだぜ。」と、語りかけてくれるようなプラモデルでありました。