中日異文化交流と異世界転生プラモデルと。SUYATA 「1/48 艦上爆撃機 彗星」

スヤタ 1/48 蒼穹の連合艦隊 艦上爆撃機 彗星 プラモデル SYTSRK-005

 彗星です。中国のプラモデルメーカー「SUYATA」が放つ、「1/48 艦上爆撃機 彗星」です。蒼穹の連合艦隊と銘打ったこのシリーズ、日本海軍の兵器と同じ名を冠した謎SFチックな機体がいくつかリリースされていて妙な魅力があります。名は体を顕す、日本的機体名のせいかもしれません。

 もう10年以上前の話になりますが、私は大学の講義で「中国経済論」を履修していました。ちょうど中国経済が爆発的な発展をみせ、名目GDPが日本を抜いて世界2位になるかどうかの頃です。その時の講義で忘れられないことがあって、教授の話の中で頻繁に出てくる「江沢民」(こうたくみん)の発音が、どうしても「倖田來未」(こうだくみ)に空耳してしまうのでした。それ以降中国の経済発展のイメージがギャルでアゲアゲハニーFLASHなイメージと完全に合致。変わるわよ。中国がなんだか身近な存在になったような気がしました。勘違いなのですが。

 閑話休題。ここからはプラモデル、彗星の話。

▲シルキーなつや消しっぽい仕上がりのパーツ。

 落ち着いた色みのグリーンに、パキッとしたスジボリ。「パキッと」とは、スジボリのエッジが光り、ミゾにしっかりと影が落ち、濃いグリーンのラインが目を惹くということ。プラスチックが単純にキレイなのです。質感が良いだけでテンションが上がります。

▲独特のディティールと形状。

 SFメカってちょっとした生体っぽさがキモというかお約束みたいなフシがあると思うのですが、この彗星は色と形状からアゲハ蝶の幼虫を連想しますね。

▲クリアパーツはかなり厚みがあって、ツヤツヤ。べっ甲のような質感なのです。
▲背中合わせの複座式!背中方向に進むジェットコースター怖いよね。

 面白かったのはパーツを噛み合わせるオスメスの形状に、細長いスリットとバーを多用していたこと。これ、とても具合が良いです。パーツをバラしてもピンが折れたりせず、しかも接着剤を使わずとも意外としっかり噛み合うので、組み立てのストレスをほとんど感じませんでした。できるなら全部これにして欲しいぐらいです。

▲未確認戦闘機完成。超素敵。

 知らぬ存ぜぬメカがあれよあれよと知らぬ存ぜぬカタチになっていく楽しさで、組み立ての体感速度はかなり速かったです。(実際は、写真を撮りながら、ニッパーで切った跡をそれなりに処理しながら、休憩しながら1時間半ぐらい。)パーツを見てもそれがどこに付くか次の展開があんまり想像つかないぞ……っていうのは、それこそがプラモデルを組み立てる醍醐味のひとつのように思います。星新一のショート・ショートを読んでいる感覚に近いものを感じました。

▲(何だかわからん)デカールを貼りました。

 そして狂ったジャポニズム感を醸し出す、日本語のような何かのデカールが味わい深いです。何が味わい深いのかというと、漢字は中国から日本に伝わってきたものですが、そんな漢字を多用する日本で大戦期に開発され漢字で命名された戦闘機「彗星」が時を経て中国のメーカーから「1/48 彗星」の謎SF戦闘機プラモデルとして2021年に異世界転生し、謎の日本語(絶対に「分かってワザとやっている」!)を纏って日本に輸入されたことに、異文化交流による文化の醸成、ねじれ、可笑しみを感じるのです。

スヤタ 1/48 蒼穹の連合艦隊 艦上爆撃機 彗星 プラモデル SYTSRK-005

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ハイパーアジア

1988年生まれ。茨城県在住の会社員。典型的な出戻りモデラー。おたくなパロディと麻雀と70’sソウルが大好き。