プラモの「おかわり」は気の利いたふりかけと共に/タミヤ 1/48 F-14Aトムキャット

 あまりにもスタンダードな食べ物、たとえばパンとか米というのはそもそもが美味いので主食として毎日食われているところがあると思うんだけど、それでも「信じられないくらい美味い米」とか「涙が出るくらい味わいのあるパン」というのに遭遇するから人生はおもしろい。

 F-14トムキャットというのは大人気の最強艦載機なので、世界のあらゆるメーカーがいろんなスケールでプラモデルにしてきたモチーフだ。飛行機模型を嗜む人なら一度は組んでみようかな、と思う戦闘機だろうし、プラモ屋さんに行けばヴィンテージに属するような定番品や新興メーカーの野心的なプラモまで選び放題。言ってみれば、米とかパンみたいに「美味いことが確定していて、いつでも手に入る」という類のアイテムである。

 しかし、5年前に発売されたタミヤの1/48トムキャットはどうだろう。上の写真は当時手に入れて一気呵成にノンストップで作り上げた自分のお気に入り(NASAの試験機を真似たもの)である。見ての通り複雑なカタチをした戦闘機なので、プラモにするのもそれをキレイに組み上げるのもなかなか難しいと思われてきたトムキャットが、タミヤの魔法にかかると速度制限なしのハイウェイのような組み心地になる。

 その巨大さとド迫力の形状もさることながら、「ここは気をつけたほうがいいな」とか、「これは達人じゃないと手こずるな」と思うことがなかった。組んでよし、塗ってよし、できあがって眺め回してなおよしという恐ろしいプラモだ。そんなのつまらない、と思う人もいるかもしれないが、こんなプラモを設計して製造できる会社は世界にタミヤしかないのだから、このキットでしかできない体験であることには間違いない。

 そして、最後のパーツをパチリと組み付けて完成した瞬間、「いますぐに、もう一度このプラモをゼロから味わいたい」と思ったことは今でも忘れられない。あまりに美味しいと、おかわりしたくなるアレだ。

 先日発売された「1/48 グラマン F-14A トムキャット (後期型)発艦セット」は、ただでさえ美味至極の白米に、その味を最大限に引き出す高級ふりかけを添えた二膳目だ。5年前のプラモに「発艦」というシチュエーションを与えるために甲板士官や縮みきった前脚のパーツをセット。さらに飛行甲板の印刷されたボードも付属している。同じものがふたつ以上あればそれは「コレクション」の始まりだろうが、このアイテムは単品でトムキャットの姿形を楽しむことよりも、機体がきらめくある一瞬を切り取った情景を誰もが楽しめるように仕立てられている。

 今回もその情景を自分の手で作り上げたくて、イチからトムキャットを組んでいる。再会したパーツの相変わらずの精度、新しく会ったパーツに盛り込まれた工夫。たくさんの感動があり、初めて組んだ時の鮮烈な驚きも全く色褪せることがない。

 もちろん、これがあなたにとって初めてのタミヤ製トムキャットであってもなんの問題もない。「この世でいちばん驚いた飛行機模型はなんですか?」と訊かれたら、私はいつだってこのプラモを挙げるだろう。プラモを知っていれば知っているほどこの傑作ぶりには驚かされるだろうし、いつかの上達を夢見る人だって、このプラモに導かれることで清々しい景色を目の当たりにできるはずだ。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。