レギンレイヴのプラモが楽しい理由は、送り手も感じる新しいモチーフのフレッシュさにある。

 勝ちパターンというか、試合を有利にすすめるための「定石」というのは物事をうまく進めるときに有効なもの。得意な味付けに持ち込めばどんな素材も自分の好きな味で食べられる、みたいに言い換えてもいいかもしれませんが、バンダイスピリッツの場合はいちばんたくさん向き合ってピッチのどの角度からでもゴールを決められるのがガンプラなのかもしれません。

 もっと言えば、よく動いて色分けされた人型のロボットならばどんなモチーフでもだいたいガンプラに似た組み味とすることで「毎度お馴染みのプラモ」という雰囲気にできる(逆に言えば、エントリーグレードのガンダムみたいなのは「組み味」の方にメスを入れているからエキサイティングなんだと思います)。

 ところが、このレギンレイヴという多脚機甲兵器(作品中では「フェルドレス」と呼ばれているみたいです)は昆虫のように平べったい胴体から同じ形をした4本の脚と2本の武装アームがにょきにょきと生えたフォルムをしています。とても人型とは呼べないカタチだし、普通のロボットプラモとは全く違う文法のパーツがたくさん出てきて新鮮な感覚に襲われます。

 スケールも1/144とか1/100みたいな「とりあえずでかいロボットですよ」という数字ではなく、1/48というミリタリーの世界では飛行機や戦車でおなじみのものを採用。人間を彫刻してそれを乗っけることで大きさの感覚や戦場での緊迫感を演出することに成功しています。もちろん、塗るときにも「飛行機のそれ」や「戦車のそれ」を引用したスケール感や汚しの風合いなんかも盛り込むことができます。かつてバンダイは1/48機甲師団シリーズと銘打って戦車のプラモデルをたくさん売っていましたが、奇しくもアニメ作品でもって「機甲兵器」を同じスケールで模型にすることになったわけですから、そういうところもおもしろい。

 組んでいると、これまで見たこともないようなパーツが見たこともない角度で組み合わさって、あれよあれよと言う間に知らないメカができあがっていきます。もとのデザインが良いということもあるのでしょうが、艶めかしい曲線とぶっきらぼうな内部メカのディテールが表裏でせめぎあい、情報量もギュッと凝縮されていて「ちょっと多いかな」と思ったパーツの数も苦になりません。新しいことをしているときって、「次はどうなるんだろう?」という期待感が手をドライブしてくれます。

 脚の機構もあっぱれのひとこと。ポリパーツを使わずに、複雑なディテールを持つ関節が動いく上に先端からパイルドライバという鋭利な武器が飛び出してくるギミックまでをコンパクトにまとめています。組んでいる時はわからなかった仕組みも、完成すると「わお!」と驚く収まり具合になりますし、関節可動に合わせて連動するシリンダのギミックも手慣れたものではありますが、極力簡単に見応えのある動きを演出できるよう考え抜かれたものになっています。

 言ってみれば、勝手知ったるロボットモデルをいつもの定石で分解し、再構築するという方法ではないのがこのプラモの美点だと感じました。新しいシルエットに新しいギミック。さあ、これを「バンダイスピリッツのプラモデル」として誰もが確実に組めて動かして遊べるようにするにはどうしたらいいだろうか?というのをゼロベースで考えているのが伝わってきます。

 今回は組む手も止まらず、さらには「これが汚れていたらどんな雰囲気だろうか」というのも気になってしまい、一気呵成に汚し塗装まで楽しんでしまいました。『境界戦機』ともども、シルエットで見せるか、ギミックで楽しませるか、それをどう組みやすくするかというフレッシュな思考と努力の跡は、やはりいつだって新しいコンテンツとまっさらな状態から組み合うときに感じられる稀有なものです。「バンダイスピリッツの技術力!」というのをより具体的に味わうならば、店頭にいっぱい並んでいる新番組のプラモを組むことをオススメします。このプラモ、本当におもしろいですよ。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。