

新しい街に引っ越してきた時のような、知らなかった銘柄のお酒がとてもおいしかった時のような、そんな高揚感をプラモデルに感じることがあります。私にとって、アメリカの模型メーカー『amt』のプラモデル、1/32 ’63 STINGRAYがそうでした。
”SCALE STARS”と謳った、1/32スケールのこのシリーズ。初めて手に取りましたが、パーツ数がかなり抑えられていて、シンプルな構成でとても組み立て易かったのです。その代わり、サイドミラーやバックミラーなどが大胆に省略されています。ところが、様々な部分が省略されているからといって、模型としてダルな雰囲気は一切無く、むしろキリっとした印象です。美味しい部分だけを掬い上げた、とても巧妙な割り切り方に思えます。

ドアハンドルやエンブレム、ワイパーまで一体成型になっていますが、ちゃんとエッジが立っていて存在感があります。比較的小さい1/32スケールでの組み立てやすさと見栄えのバランスを考えると、これが最適解のようにさえ思います。


これも手のうちで角度を変えると、キラッとした光に目を奪われます。魚釣りで、ルアーの反射光に反応してしまう魚と一緒ですね。スティングレイに釣られる人間なのです。
組立てに関しては、バリ取りなども含めて、デザインナイフによる調整が必須です。ほとんどのパーツがハメ込み式なのですが、メッキパーツの方が若干大きくてそのままではハマりません。しかし、受けの白いプラスチック側をデザインナイフで削ってやると面白いようにハマります。中にはテールライトとマフラーが一体のパーツになっていたりと、かなり面白いパーツ構成の部分もあり、組み立ての楽しさも味わえます。

ボディーにはタミヤスプレーのダークブルー、内装とタイヤにクレオスのフィニッシングサーフェイサー1500を吹きました。あとは細かな部分をタミヤのペイントマーカー、マッキーを使って仕上げます。しかし、マーカーで塗るには難しい小ささなので、芯先を削ったり、場所によってはインクを出して筆塗りをします。
最後に、塗装したパーツ群にメッキパーツをはめ込んでいって完成です。

ホイールのメッキも、光り方によっては走っている様にさえ見えます。車内をのぞき込むと、かなり大きめに造形されたメッキのハンドルが抜群の存在感を放っています。大幅にデフォルメされているわけではないのですが、写実的というよりも、そのカッコよくて印象的なイメージそのものを具現化したようなプラモデルなのでした。
輝くメッキのフロント・リアバンパーを目線に持ってきて、手でクルクル回してみて、その造形をプラモデルならではの角度で味わうのがオススメです。
