ありえない速度で、取り返しのつかない怪物が生まれるプラモデル。TAKOMのエクラノプランは全人類にオススメの怪魚です!

▲ホントにひさびさに、ニッパーが止まらない!助けてくれ、何者なんだオマエは!?

 結論です。タコムのルン級エクラノプラン、買いましょう。こんなにもスピーディーに、こんなにも奇怪なカタチを楽しむことができる。プラモデルの醍醐味が味わえるグッドアイテム・オブ・ジ・イヤー2021、獲得です。あまりにも楽しいので写真が多いけど、絶対に組みたくなるから寄ってらっしゃい見てらっしゃい。

 この「カスピ海の怪物」と呼ばれた異様な物体は、ソ連の生み出した超兵器だ。実在するけど、幸か不幸か実戦配備されることはなかった。フネでも飛行機でもない、ちょっとだけ浮いてすっげースピードで滑空して装甲車両や兵員を輸送し、さらには背中のミサイルを叩き込む、唯一無二の機械だ。

 小さな塗装済み完成品とかレジンキャストキットでは立体化されたこともあるけど、プラモになるのは初めてなんじゃなかろうか。そして1/144スケールって、超デカい。箱は小さいけど完成すると全長50cmくらいのバケモンになる。

 なんで小さな箱からでかい物体が出てくるのかというと、胴体が前後に分割されているから。まず機首部分がこれ。深海魚のカマのような、見たこともないカタチがどーんと入っている。ここでテンションは100ですね。エラみたいな凹みは波切りの板があとからくっつく場所。下側は飛行艇みたいに逆への字の断面形なのがわかるだろう。

 目を疑うほど分厚い垂直尾翼には3つの巨大なコブ。たぶんレーダーとかが入っているのだが、ここもなんか深海生物のやばい器官みたいでよろしい。パネルラインと動翼のギコギコ動きそうなヒンジ部分の彫り込みも異なる表情で、航空機模型っぽいシズルがありますね。

 胴体の上には本来艦船に搭載することを想定された巨大なミサイル入の筒が6本。筒の前後にある蓋がパカッと開いてミサイルがドバーッと飛んでいくのだが、そのブラスト(後方の噴射炎)を機体に直撃させないようにこれまた有機的な曲面でできた背びれが3つ並ぶ。実物の写真を見るとどうやら耐熱タイルみたいなものが貼り込まれているようで、あみだくじみたいなディテールが見える。キットではかなりあっさり味のスジ彫りなので気になる人はタガネでキコキコ彫ってみてもいいかもしれない。

▲旅客機の主翼かと見紛うばかりの巨大なパーツが出現するけど、これがなんと水平尾翼。

 で、主翼(これが海面と機体の間に「地面効果」を発生させる。翼というのは地面にあまりにも近くなると空中を飛んでいるときよりも大きな揚力が発生するので、少ない出力で浮いていられると考えればよろしい)は「なんか事故にでも遭いましたか?」っつうくらいバッサリと途切れたカタチ。その翼弦(前後幅)の長さを手のサイズから推し量っていただきたい。飛行機とはぜんぜん違う、ちぐはぐなプロポーションの正体がこれである。

▲機首の横に突き出たエンジンポッドは左右4発ずつのターボジェットを内蔵。
▲エンジンノズルはスライド金型で4発ずつが一体成型。こういうパーツを見ると小躍りしてしまうのがモデラーだ。

 もうエンジン見てたら「ミデアかよ」と思ってしまうガンダム脳なのだが、冷静に考えたら8発である。ミデアの倍だ。これを倒そうとしたらたぶんドムが6機必要である。マチルダさ〜ん!

▲コクピット、ワンパーツなのに立体感ある彫刻でウキウキ!
▲窓の透明度、300点。小さな窓を貼るためのでっかいノリシロ、400点。「組む人」をちゃんと見ているいい模型です。

 基本的には2枚合わせのパーツでひとつのユニットが完成し、それをドコドコ接着していけば全体のカタチができていく仕様となっている。上の写真のように全体の形状が把握できるようになるまで26パーツ。パーツを切り離してマスキングテープで仮止めしただけでその威容が爆誕!全体のパーツ数も抑えめですが、こういうのはドバーッと組んでメチャクチャなカタチを愉しみ、ゴリゴリ塗って友達に自慢するなり天井からぶら下げておいて家人に気味悪がられたりするのがGOOD。モデラー向けに言っておくと、アンダーゲートの処理がちょっと面倒かな。

 見てよこの巨大な姿!……ということで、時間を作って貼ったり塗ったり、思う存分楽しませてもらいます
 みなさんも、ぜひ!

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。