巨大な飛行船のプラモと超微細な金属パーツの話

 めっちゃでかい飛行船のプラモを買ったら一気呵成に組んでバーっと天井から吊って遊びたいじゃない。そうしましょう。竹割りの船体パーツを切り出して接着!ワクとパーツを繋ぐところが接着面に来る「アンダーゲート(ジャンプゲートもしくはオーバーラップゲート)」だとこういうときに手間がかかるからイヤよね。

 「ぱちんと切ったらスパッと貼れる」に慣れてると、接着面に残った切断痕をちまちまカッターで削るそのワンテンポがどうしてもスピーディーな製作を阻みます。これがランナー状態でバーンと塗装できるプラモならいざ知らず、こういうスケールモデル的なアイテムだと塗装は最後の最後になるから、アンダーゲートにする意味ってそんなに無いような気もする。どうでしょう。それにしても、TAKOMのキットは本当にアンダーゲートが多いのだ……。

 などと愚痴りながら胴体後半部のパーツを見ると、パーツの接合面が1段落ちている部分があって、これがすごくカワイイ。なぜならここに垂直安定板がくっつくのですが、完成した胴体にイモ付けにならないように内部にダボが立ててあって、ここにピシャっと挟み込めば角度もパキッと固定されるようになってるというわけ。こういうところのおもてなしで機嫌がちょっと良くなります。ウフフ。

 パリッ、まるでシャウエッセン!胴体の前後は豪快に真っ二つになっていますから、これを接着剤でムギューっとくっつけるようになっています。ちゃんと接合用の凹凸が付いてるから強度もバッチリ。

 ちなみにこの接合面に輪切りになった船体パーツを追加することで胴体延長型を再現できるバリエーションキットも売られている。なんならそっちのほうが実売価格が安くてビビる。単純に大きいほうがお得だと思う人はP型じゃなくてQ型のほうがちょっと長い飛行船が安く手に入ります。

 うーん、でっかいね。1/35の戦車というのは両手に乗せて眺めるサイズですけど、1/350の飛行船ともなると船体はこの巨大さ。置く場所がないなんて話は野暮なので、とにかく家の高い位置に置いて下から眺めるのが吉です。さて、これでカタチはほとんど見えてるんだけど、問題は小さなキャビン。飛行船だって人間が操縦しなければいけませんから、むしろフネの艦橋という意味でその極小区画が重要になるんだぜ……。

 で、説明書の言うとおりに組んでみたらここでまたグンニョリ。キャビンはかなりシャキシャキしたプラスチックパーツなんですが、船体との接合部が極小のエッチングパーツ(金属の薄板を加工したもの)なんだよね。こんな小さなキャビンをひとつ取り付けるのに、じつ14もの極小金属片を接着しなければいけない。

 もちろんこの作業自体に慣れていればとびきり難しいという作業でも無い気はするのですが、やっぱりプラモデルってのはプラスチックで完結していてほしいなと思う自分がいるのも事実。プラスチックパーツではどうしても細さ薄さに納得いかないという人のために抜かれる伝家の宝刀がエッチングパーツならわかるんですが、初手から「エッチングパーツの加工ができないとこのプラモはそもそも組めないよ」と言われると引いちゃう人もいるかもしれませんよね……。

 ということで、軽率に飛行船のプラモをオススメしたけど、せっかくなら「繊細さ(エッチングパーツ)とガッチリした組み味(ちょっと野暮ったいけど普通の接着剤で貼れるプラスチックパーツ)を選択できるプラモ」がいいなと思った秋の日。だって、目がしょぼしょぼする花粉の季節なんですもの。

<a href="/author/kalapattar/">からぱた</a>
からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。