大根サイズの機体にしがみつく、指先サイズの乗員室/飛行船のプラモデルで知る「空戦の夜明け」。

 ジミー・ペイジが好きです。さて、ツェッペリンというのはそもそもドイツの伯爵の名前。彼が世界で初めて骨組みの入った飛行船を実用化したので、いまでは「ツェッペリン」がそのまま世界中で硬式飛行船(骨組みが入ってて中の機体が抜けてもカタチが変わらない仕組みをもった飛行船)のことを指します。で、その始祖のひとつである「Pクラス」と呼ばれるドイツ海軍/陸軍(まだ空軍は存在もしなかったのだ……)の兵器を全長466mmというなかなか良いサイズでプラモにしたのがTAKOMの最新作というわけ。

 1/350というのは艦船模型の大きめサイズでよく使われる縮尺なので、まさしく海の上にいるフネと空に浮かぶフネで大きさ比べができるのがいいところ。現行アイテムではこの寸法の飛行船のプラモはありませんから、買って組んで確かめるしかない!

 細長い飛行船はほとんど円筒みたいなカタチ。パーツの形状も単純といえば単純ですが、じゃあこれ自分で作れますかと言われるとなかなか面倒なカタチをしている。誰かが設計して金型を作ってくれるって、本当にうれしいですね。細長いスリットには安定翼がブスリと刺さる様子。

 なにしろ飛行機がこの世に登場するかしないかという時期にノロノロと空を飛んでイギリスを威嚇したりちょっとした爆弾を落としたり、プーンと飛んできた弱々しい飛行機を上にくっついた機銃でパラパラと追っ払うような(今の戦争と比較すると)極めて牧歌的なことをしていたのが飛行船です。まあ水素満載なので事故ると大変なことになるわけですが……。

 ということで、巨大な巨大な気嚢(=宙に浮かぶために必要なところ)に比べ、人間が寝起きして操縦したり警戒したりする部分はほんのわずか。豪快としか言いようのない船体の大きなパーツのほかには、チマチマとしたパーツがほんの少し用意されているに過ぎません。

 とはいえ、下にぶら下げられる小さなキャビンにぐぐっとクローズアップすると、なかなかシズルがあります。ちょうど艦船模型の艦橋を眺めているような、「そうか、ここに人間が入ってこんな巨大なもんを動かしていたのか……」という感慨も生まれようというもの。長さ163mの巨体に乗組員はわずか19人。これがヨーロッパの空をノソノソ蠢いていたのもほんの僅かな時期にすぎませんでした。

 キャビンを吊るすための繊細な構造は薄い金属板を加工したエッチングパーツで再現。丁寧に折り曲げて慎重に接着する必要はありますが、ひとまずこんな中身であることを確認して今日は大満足。まずは巨体を接着して、小さなパーツたちを愛でながらちょっとずつその全貌に迫っていくことにしましょう。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。