最高のコクピットを優しく覆う、最高の透明パーツたち/タミヤヨンパチファントム夜話

 タミヤの1/48のトムキャットを組んだときにも思ったこと。それは「キャノピーのランナーが美しすぎること」であります。複数の曲面がせめぎ合う風防や天蓋をこまかなディテールと高い透明度で造形し、それが絶対に傷つかないよう複雑な形状に立ち上がったワクがガードしてくれている。金型の中で繰り広げられる樹脂のダンスは切り離してしまえば痕跡も残りませんが、この景色を眺めるのはファントムを買ってビニール袋を破ったアナタだけに許される喜び。

 閉状態のキャノピーと開状態の様子をどちらも美しく作れるよう、一体型(閉めた状態)と3枚に分かれたもの(開いた状態を再現できる)がそれぞれ用意されています。驚くのは3枚に下ろされたキャノピーをあえて閉めた状態でコクピットに乗せてみても、一体型と見分けがつかないほどキレイにアウトラインがつながること(じつはこの記事のサムネイル画像が「バラバラのキャノピーをピチッと並べた状態」の写真です)。これ、あたりまえのようでいて、とんでもない精度が為せるスゴ技です。

 そんな美しいキャノピーを美しく塗り上げるためのおもてなしがこのマスクシール。一般的な黄色いマスキングテープと同様の素材でできていて、窓のフチをキレイに塗り分けられるようカットラインが印刷してあります。刃を新品に替えたデザインナイフでこれを丁寧に切り離しましょう。

 繊細ながらもくっきりとしたディテールに合わせてこれを貼り込んでいきます。「一層目に黒、二層目に機体の外装色を塗れば内外の色の違いも再現できますよ!」と説明書に書いてあるので、そのとおりに塗ります。今回使用したのはタミヤのラッカー系塗料、LP-34ライトグレイだったのですが……。

 機体の成型色(もとのプラスチックの色)とまったく同じ色で、思わず「わっ!」と声が出てしまいました。部分塗装で仕上げちゃえ!という人は、機体下面と垂直尾翼に塗る白、そしてタミヤのライトグレイだけ用意しても、ちぐはぐにならずに済むというのは覚えておいていい情報でしょう。

 ちなみに、気持ちが急いだあまりドッグハウス(前席と後席の間の)の台形の窓をマスクし忘れましたが、実機でもここが塗りつぶされてしまったことがあるようなので「オレの中でセーフ」ということにします。

 たかが戦闘機の窓。されど、透明パーツのなかにドシッと座るふたりのパイロットはファントムの存在感のコアになる部分です。ギャラリーの注目を浴びるステージだからこそ、最高のおもてなしで僕らに気持ち良い完成品を作らせてくれるタミヤのファントム。こういうところも、この夏の大事件だと思うのです。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。