暑さと湿気で缶スプレー塗装やエアブラシ塗装はなかなか大変。そんな時にぴったりな「水性塗料の筆塗り」。今回は国内でも最も手に入りやすい水性塗料の一つ「タミヤアクリル」を主に使用して塗っていきます。
タミヤアクリルはつや消しと光沢の2種類ありまして、塗料の前に振られているアルファベットの「XF」がつや消しで「X」が光沢になります。筆塗りにおいてはXFのつや消しの方ががっちり定着するのでおすすめです。ツヤを出したい場合は最後にトップコートの光沢を吹けば問題ないです。ただ、このつや消しが非常に強いので、塗り重ねていくとガサガサになっていく弱点もあります。それを緩和してくれるのが、同じタミヤアクリルの中にラインナップされている「クリヤー」系のカラーです。これを少量入れるだけで一気に半ツヤになり、絶妙なツヤ感がある塗面になります。クリヤーを少量しか入れないのと、すでに模型にはプレミアムトップコートつや消しを吹いているので、薄い塗料でもしっかり定着します。
いきなり塗料を塗る前に、この2点をやっておくととても塗りやすくなります。
筆塗りのポイントとして、「塗った場所が完全に乾いたら塗り重ねる」というのがあります。半乾きの上に塗ると塗料が剥がれて汚くなるからです。タミヤアクリルは完全乾燥すると、上から再度アクリル塗料を塗っても下の塗料が溶けづらいという性質があります。ですので、完全乾燥した上から塗ることでより綺麗な塗面を得ることができます。ただ、待つのはしんどいもの。そんな時はドライヤーです。優しい温風や冷風を使い分けてスピーディーに乾燥させちゃいましょう。
日本機の緑を塗る時は上の写真の組み合わせをよくやります。ディープグリーンはその名の通り暗めのグリーンなのですが、これにクリヤーグリーンを混ぜると、明るい方向に立ち上がりながら緑の色味も加わります。「白」を加えてないので濁りもなくグリーンの彩度が落ちることはありません。
よく「縦に塗ったら次は横に塗りましょう」と筆塗りで言われていますが、気にしなくていいです。今回僕は、飛行機が飛ぶ方向を意識して、ほとんど前から後ろにしか筆を動かしていません。それでいい感じになります。完全乾燥したら塗り重ねる。それだけ守れば、どんなふうに筆を動かしても雰囲気ある仕上がりになってくれます。
僕の場合は今回のようなメインカラーとなる部分は2度塗りくらいで一旦フィニッシュします。筆目とかバリバリにあってOKです。それはこの後ウェザリングしたり、グラデーション的な塗りをしたりするのでさらに塗料が塗り重なっていきます。基本塗装の段階はお化粧の基礎化粧パート。まさに土台を作る段階としています。さぁここから一気に雰囲気良くしていくので、次回もお楽しみにね。またね〜。
1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)