プラモデルでも「私だけのカブ」を作りたい/フジミ 1/12 NEXTシリーズ スーパーカブ

 高校生・小熊が通学用に中古のスーパーカブを買ったことをきっかけに変わっていく生活を描いた「スーパーカブ」。どうしてもプラモデルでやってみたいシーンがあったので、かかりつけの模型屋さんに駆け込みました。バイクに詳しくなく、バイクモデルを作ったことはありませんが、なぜかスーパーカブなら作れる気がすると漠然と思いました。

 フジミの「1/12 スーパーカブ110」は、同社の塗装不要、接着剤不要のNEXTシリーズの第一弾で、初めてのバイクモデルに最適そうです。模型屋さんのこれまで気にかけていなかった棚に新しいジャンル(沼)への入り口が巧妙かつタイミングよく存在しておりましたので、体を預けてスッ……と着水いたします。

 開封すると目に留まったのがキレッキレのスポークで、1/12スケールだとこの表現ができるのか、と驚きました。この時点で「バイクのプラモデルっていいな」と思いました。

 ボディもカラーバリエーションに合わせて色分けされており、鮮やかで表面もツヤツヤです。ただし、今回は劇中に登場するグリーンのキットが店頭になかったため、イエローのパーツをグリーンに塗装しなおすことにしました。店頭にないプラモは通販で買えばいいのですが、かかりつけの模型屋さんから買いたいという気持ちと、一刻も早く作りたいという気持ちが勝ちました。

 レッグシールドも絶妙なアイボリーで成型されており、「これは塗装しても勝てないな」と思ってこのまま使うことにしました。

 シートやその他のパーツもランナーごとに色分けされ、質感も表現されています。接着剤不要のスナップキットなので、普通のプラモデルの勢いで仮組みをすると強固にパーツがハマって固定されてしまい再び分解するのに往生することもありました。接着剤不要の売り文句の通り仮組みや接着剤なしでもガッチリ組み立てることができますが、不安なところには適宜接着剤を使いました。

 説明書に豆知識として部品がどんな役割のものなのか書かれており、スーパーカブやバイクのことを知らなくても楽しめるようになっています。アニメで描写されていたのはこのパーツだったのかと思い返すこともでき、新しい知識にもなりました。知っているものを再現するのがプラモデルの楽しさとばかり思っていましたが、知らないものをプラモデルを通して知ることも楽しいものです。

 組み立てながら「おっ」と思ったのがエンジン回りのパーツです。まるでこのまま宇宙空間に飛んで行ってもおかしくないフォルムに「そりゃあスーパーカブはよく走るはずだ」と妙な納得をしてしまいました。

 小気味よく組み合わさっていくパーツにカタルシスや高揚感を覚えながら完成すると親しみのあるスーパーカブが現れました。

 そして、ここからがやってみたかったことです。スーパーカブに追加するパーツを自作してみます。

 WAVEの方眼目盛付きプラプレートは直角や寸法を簡単に出せるので、自作や改造の強い味方です。展開図を描き、カッターで切り出して箱型に組みます。

 そして角をヤスリで削って丸みをつけたり、短冊状に切り出したプラプレートで天面の凸凹を表現したりして、塗装をします。

 リアボックスができました。アニメ「スーパーカブ」の第3話に、主人公の小熊がリアボックスを譲り受け、自分で取り付けるシーンがあります。そのシーンを見たときに、カブがどんどん自分の道具になっていき、さらに愛着が湧く描写に少し泣いてしまい、絶対プラモデルでやりたい、と思ったのです。

 自分の手でカブにリアボックスを載せると、途端に愛着が湧いてきました。プラモデルにひと手間加えることで、自分で組み立てたプラモデルがさらに自分だけのものになりました。

 プラモデルを完成させて改めて街中を見てみると、スーパーカブを見かけない日がないくらいたくさん走っていることに気付きました。自分の手で世界を再構築すると世界の見え方が変わるのも、プラモデルの楽しいところです。

C重油
C重油

1991年生まれ。山口県の小さな漁港出身。大きな港に就職し大きな船を見ているうちに船の模型が作りたくなり、フルスクラッチも始めた普通の会社員。