過激!無謀!狂乱のラリー・グループBにおけるアウディ最後の姿をプラモで掴め。

 2021年11月、日本でひさびさにワールドラリー選手権が開催されます。愛知、岐阜にまたがるステージで、公道を使ってラリーカーが走ります。見慣れた日本の景色をレースカーが駆け抜ける姿は、やはり面白いものがありますので、今から開催が楽しみですね!

 最近ラリーカーのプラモデルがじつは増えていて、nunuと前身のビーマックスがかなり精力的に新キットを開拓していました。そのなかでも私が選んだのはこのアウディ・クワトロ S1です。


 私はアウディといえば耐久、というイメージがあります。6月に開催されるル・マン24時間で2000年代を勝利し続けたメーカーで、私はその強さを強く刻みつけられました。そのうえ、富士スピードウェイではアウディのファンシートを買ったところ、想像以上の歓待を受けてしまい(下の写真みたいに、畳で寝っ転がって観戦できる年もあったんです。ゆっくり休憩できて最高でした……)、アウディにメロメロになったという経緯があります。だからアウディを選ぶに決まってます。

 アウディが耐久で無双する20年前、グループBというカテゴリーのレースがありました。これはラリーカーのカテゴリーで、1982年から1987年というわずかな期間なのですが、いろいろハチャメチャで今でも語り草になるまさに「伝説のカテゴリー」でした。エンジンはターボでハイパワー、マシンは短く軽く飛ぶように走り、そして観客はマシンが通る直前までコースに密集し、跳ね飛ばされる直前に逃げる……。いくつものヤバい映像がすぐに出てきます。

 そんな劇ヤバカテゴリーで革新的テクノロジーを持って戦っていたのがアウディでした。その代表が4WD。エンジンからの動力が4輪全部に伝わる、現在ラリーでは必須の装備を取り入れたのがアウディでした(そのちょっと前にスバルが4WDを採用しているのは誇り高いですね)。車体の前にエンジンがあって、4つのタイヤにドライブシャフトがつながっているのが模型でもわかります。AFVだとジープなどのタイヤ系車両を作るとこの機構はおなじみですね。

 そして今回の仕様は、グループBが終わるそのレースを再現したものになっています。オリンパスラリー、デカールの中に星条旗の意匠がありますね。

 グループBのラストレースでは、アウディはスッキリシンプルな姿になっています。それにともなってキットの内容もだいぶシンプルです。もっと過激な鎧のような外装のバージョンは、前身のビーマックス時代にプラモデル化されています。これぞグループB! みたいなカゲキな外見です。

 輝くフォーシルバーリングス。前身のアウトウニオン時代からこのエンブレムであり、戦前からレースをしてきたメーカーなのです。このあたりのキレイに抜けてる感じはさすがの一言。

 組み立てはサクサク、ディテールもサクサク。コクピットは見どころいっぱいで楽しいですね。おっと、ラリーカーはナビゲイターを務めるコ・ドライバーも乗るのでシートがふたつありますね。

 また見えなくなる部分もカッチリ再現しています。本当に隠すのがもったいないですね。

 おなじみのロールケージとパイプの織りなすコクピット後部は組み立ても盛り上がる部分です。今私は乗用車ではなくレースマシンを作っているのだ!

 さてこのキットにもオプションパーツが発売されています。シートベルト用のリボンとエッチングパーツ、金属製のコネクターバルブがついてきます。

 エッチングパーツの一部分がゲートレスになっています。本体付属のメッシュパーツのかわりに使える金属製メッシュパーツがあります。また泥はねガードが「自分いい仕事します」って顔してますね。ああ、やはりガチるなら買うべきパーツじゃないですか……。

 さらばグループB。無謀を超えた、とてつもない力のカテゴリー。1986年最後のこのレースでアウディは3位を獲得、この伝説のカテゴリーにアウディが居たことをしっかり示した、有終の美となったのでした。

けんたろう
けんたろう

各模型誌で笑顔を振りまくフォトジェニックライター。どんな模型もするする食べちゃうやんちゃなお兄さんで、工具&マテリアルにも詳しい。コメダ珈琲が大好き。