模型自身/プラモが好きになる場所、好きになる気分。

 久しぶりに模型屋さんに行った。大好きな下北沢のサニーだ。僕はサニーがあるから下北という街が好き。プラモを買ってそのまま古着屋でリーバイスの501やラルフローレンのシャツとかを良く物色する。腹が減ったら中華料理屋の「新雪園」のチャーハン、「一龍」や「みん亭」のラーメンだ。

 気分良く帰ってこれた日に手にしている模型ほど完成するもんだ。だからサニーで買った模型はよく完成する。

 下北サニーのエアフィックスコーナーは2つある。棚に綺麗に並べられたゾーンと、ドイツレベルの1/72や1/144の飛行機がある棚の隙間にすっとキットが収まっているゾーンだ。このゾーンが大好きだ。定番のスピットやハリケーン、そしてデファイアントなどの1/72スケールがよく刺さっている。このゾーンのキットは、週末モデリングで楽しめる感じのコンパクトなエアフィックスキットが刺さっているのだ。そして今回手にした「デ・ハビランド DH.88 コメット」もそこにあった。雪山の上をカッ飛ぶ流麗な飛行機のイラストに心惹かれ、そのままレジに持って行った。

 箱を開けるとパーツ数は約20。その姿を見るとどうみてもオールドキットだ。パッケージを最新のフォーマットに合わせた、中身はレジェンドなキットである。こういった出会いも海外キットならでは。一期一会だ。

埋没兄弟。2人のアニキが埋まっている。素晴らしい。コクピットであるということを首だけの兄貴で表現するなんて。飛行機模型の中でもトップクラスの人馬一体。だって胴体のパーツと一緒になっちゃってるんだもん。

どのパーツも面白いくらい合わない。でも合わせる気も俺にはない。全部貼れば飛行機の形に見えるでしょう。ふらっと寄った模型屋さんで、何の気なしに出会ったプラモなんだし、お茶する気分で作ったっていいんじゃない。

飛行機だ。ツルツルでかっこいい。パーツが合っていなくてもDH.88の雰囲気を楽しめる。この形を見ることができただけで楽しい。

どうせ足もガタガタなんでしょと思い、足のパーツは貼らずに飛行状態を選択。コクピットには埋没兄弟がいるからこの飛行機はどこへでも飛んで行ける。

この飛行機はイギリスのデ・ハビランド社が1934年に開発した全木製のエアレーサー。 だからレース機っぽいカラーで塗装。おそらくこの飛行機はどんな塗装も受け入れてくれると思う。「俺はこの色で空を飛ぶ!」そんな思いを込められるプラモだ。

 デカールはイタリアのカルトグラフによる高品質なものがセットされる。このデカールにより、ツルツルの胴体や翼に情報量が追加され一気に模型がまとめあげられる。

 最後は気持ちよく空へと飛ばしてあげよう。陽の光を浴びたDH.88は気持ちが良さそうだ。完成まで1時間。あっという間のフライトはとても気持ちが良いものだった。

 常にシワを伸ばしてピシッとさせた洋服はかっこいいかもしれないけど、シワがあって小慣れた雰囲気になっている洋服だってかっこいい。プラモだってそんな気分で作っても良いと思う。ちょっとパーツが合ってないくらいでおさらばしてしまう様なことは何だか寂しいよね。大好きな場所で出会ったプラモだからかもしれないけど、自分をそんな気分にさせてくれた。明日からさらにプラモが楽しくなりそうだ。

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フミテシ

1983年生まれ。月刊ホビージャパンで12年間雑誌編集&広告営業として勤務。ホビージャパンで様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。「ホビージャパンnext」、「ホビージャパンエクストラ」、「ミリタリーモデリングマニュアル」、「製作の教科書シリーズ」などを企画・編集。