ぼんやりとテレビをつけていたら、なんかレースをやっていた……。見慣れた鈴鹿のコースに、色とりどりのツーリングカーがまるで蛇のように列をなして走っている……。これが噂に聞いていたWTCC(世界ツーリングカー選手権)か、となったのを覚えています。

現シリーズのはじまった2000年代後半のWTCCはそれこそ格闘技レースなんていわれていたそうで、コースのあちこちでぶつかり合いながらレースをしていたそうです。自分が観たレースはさすがにそんなぶつけ合いはなかったですが攻めっ気はかなりのもので、似た性能のマシン同士が熾烈な争いをしていたのを覚えています。その後ホンダも参戦して、シビックで海外のメーカーと激しいバトルを繰り広げることになります。

さて、どんなカテゴリーのレースでも、誰かがプラモデルにしてくれる……という幸せな環境がカーモデルにはあります。WTCCにもそうした白馬の王子様的なメーカーがあらわれました。2010年代前半に強さを見せつけたシボレー・クルーズをプラモデルにしたのが「nunu」です。前身のビーマックス時代に青いワークスの2012年の車輌を、そして今年nunuが2013年のチャンピオンドライバーが使った車輌に仕立てて発売しました。

WTCCは市販車をベースにすることが原則。基本的に市販車の面影を感じますね。ボンネットのルーバーやフェイスがちょっと大きくなったのと、ボディワークが地面に近づいていること、ほんのちょっとのリアウイングが外見の違いになっています。得てしてそうですが、市販車ベースと言いながら、レース仕様になると市販車の姿からかけ離れますね。

「私はこれでレースカーになってます!」 という感じの追加されたフェンダー。いかにも後付けという感じの留め具のモールドがシャープ。

実際の中身も相当ちがいます。市販車なら4席ある椅子も「ドライバーズシート」だけで、むき出しの床に配線がちょろちょろと走っています。色分けとかがあると覗いたときに映える部分ですね。


底面の表現とか、細部のディテールをよく拾っているのがnunuのいいところですね。リブっぽい表現とか、機器の類がいい感じにモールドされています。底は完成後にほとんど見えない場所だけど手を抜かない。カーモデルメーカーはみんなエライ。しかもここはあとでアンダーパネルを貼るのでマジで見えなくなる部分。いまのうちにたっぷり見ておきましょう。

ハコ車のレースカーといえば! この鳥かごロールケージですよ。これがクラッシュからドライバーを守る大事なパーツです。いろいろなメーカーのレースカーを組んだことがありますが、みんなちゃんとこれを再現しているんですよ。完成したらチラッとしか見えないんだけど、市販車にはない装備ですから結構大事です。このケージをつくるとレースカー作ってるって感じます。

ライトのパーツとか、よくここまでキレイに刻んだもんだって感じしますよね。メッキもあいまってキラキラ、光ります。

よりクオリティを高めたい人のために、シートベルト留め具などのエッチングパーツやカーボンファイバー地のデカールが入ったオプションパーツが発売されています。シートベルトのリボンまで入っているので、これひとつでけっこうな範囲のディテールアップができますね。

このエッチングパーツ、一部のパーツはゲートレス(パーツとワクを繋ぐ細いところが無い仕様)になっています。カーモデルのオプションパーツは、無理して全部を使う必要こそないんですが、このエッチングのなかのいくつかのパーツがどうしても要るよね、というものになっています。ガチりたいなら買っておいて損はないものが多いです。これは私のカンが告げています……。

組み立てはシンプルで、さらにパーツのよく合うのですぐに組むことができます。市販車ベースで喧嘩レースと言われるくらいにバチボコやりあうバトルレースとしてひときわ輝いた「WTCC」の世界を模型を通して覗いてください!nunuは精力的にカーモデルを発表してきているので、今後もnippperでおっかけますよ! 楽しみにしていてください。それでは〜。