

「豚骨はないんですか?」「うちは醤油しかやってないんですよ」
学生時分の恥ずかしい記憶が蘇ったのは、エレールの1/72 シュペルエタンダールを開いたときでした。
このキット、ふらりと立ち寄ったお店で出会いました。目が合ったので手に取って、お店の人に声を掛けます。すると、「古いし箱も潰れてるから格安でいいよ」とのこと。確かにシュリンク包装に負けて、箱もくたびれています。これも出会いよな、ということで連れて帰ることにしました。

シュペルエタンダールは、フランスで開発された飛行機です。アルゼンチンにも輸出されており、かのフォークランド紛争ではイギリスの駆逐艦「シェフィールド」を撃沈し、イギリスをめちゃめちゃ困らせました。
ぼくはミーハーなので、シュペルエタンダールといえばアルゼンチンのことしか頭にありません。箱を開けて、パーツのワクを掻き分けて、デカールの台紙を手に取ります。

「アルゼンチンはないんですか?」「うちはフランスしかやってないんですよ
フランスのメーカーだから……なのかは分かりませんが、マーキングはフランスのものだけ。正直に言って、がっかりしました。だってフランスのシュペルエタンダールが何をしてたか知らないんですもの。

ふて腐れながらパーツを眺めてみると、ところどころのゲートがデカくて笑ってしまいます。ニッパーの刃が届かんやんけ、こんなん絶対ひび割れるわい、と呆れながら切ってみます。しっとり、さくり、と刃が入る。ひび割れなし、白化もなし。気持ちいい。盛り上がってきました。
それにデカールだって、フランスの国籍マークに錨が重なってて、これはこれで格好いいじゃん、などと思うわけです。フランスのフランスによるフランスのためのプラモ。フランスの飛行機を、フランスによるキットで、フランスのための仕様で作る。これも出会いです。組みましょう。


例えば、これでアルゼンチンのマーキングが入っていたとします。じゃあ駆逐艦「シェフィールド」を探してみよう、ライバルのハリアーもいいな、そうなるとイギリスの空母を置きたい、いやいやスカイホークを応援に出すか、ということを連想するわけです。
今回、お目当てのデカールがなかったおかげで、シュペルエタンダールという飛行機と、このキット、「本家本元」を味わえた気がします。
そういえば、あの店の醤油ラーメンも、おいしかったですからね。