モデルアート最新号で「ジオラマの最小単位」を楽しんでみませんか!

 「ヴィネット」というのは模型専門誌を定期的に読んでいないとあまり耳慣れない言葉かもしれませんが、情景模型……つまり「ジオラマ」よりも小さく、ひとつのシーンを切り取って凝縮したもの。模型に台を付けるだけでなく、そこに人間や水たまりや動物や、要素をピトッと足すことで小さなベースから世界観が広がっていくのがおもろいのです。台座を付けるだけでもエライんですけど、そこに一つ足すとね。ガッと訴求力が増すのよ。

 戦車のプラモを作って地面をくっつけて人間を何人も配置して建物や木を植えて……とやり始めると巨大なジオラマになっていきます。でも例えば上の写真のように「戦車の一部を切り取ってフィギュアを乗せてみる」ということになると、かなりコンパクトなのにも関わらず、その戦車の汚れ具合や人間の表情によって「いまそこがどんな状況なのか」を見る者に伝えることができます。省スペースだし要素が多くなりすぎないので、「情景を作る」という遊びにトライするならヴィネットがオススメ……というのをモデルアート最新号ではいろんな例とともに教えてくれます。

▲戦車を切り取ったら余ったところがもったいない。そしたら余ったところでもうひとつヴィネットを作れば良いんじゃ……。

 とはいえ、模型においてもっともドラマを演出しやすいのは(建築模型にも必ず添えられているように)人間です。フィギュアを塗ればそこが暑いのか寒いのか、何日髭を剃っていないのか、泥だらけの汗みどろなのか、まだまだ元気なのかという状況説明ができてしまう。でもフィギュア塗るのむずいっすよね。

▲シタデルカラーでガバチョと塗るんじゃ

 モデルアート編集部も「戦車は塗装できるけどフィギュアの塗りはちょっと……」というアニキが多いこと、分かってます。あの手この手で「君にもフィギュアが塗れるぞ!」という方法論を提示してくれていますので、恐れず飛び込んでみましょう。楽しいよ。

 「限られたスペース」を自分で決めるのが難しいという場合は釜飯をどうぞ。横川の釜飯の上に造られた鉄道の情景は文脈が二世帯住宅になっていて思わずニンマリ。最近では100円均一ショップにもちょっと気の利いた木箱や金属製のバケツなど、「ちょっと映えそうな小物」がたくさん置かれていますから、まずはそれをなんとなく買ってきて、「この上に何を載せようかな……」と考えてみるのもいいでしょう。っていうかそういう同機で我が家にはいろんな「ヴィネットの土台になりそうなもの」が転がっています……。

▲ロシアはズベズダ社の「中身そんなんなってんの!?」という1/72キットの紹介があったり
▲非モデラーにも訴求力が極めて高い水の表現なんかも読むことができます

 ジオラマというのは老若男女、どんな人にもバカウケなのは間違いない。だけどいざ作ろうとすると、あれも入れたいこれも入れたい、写真に撮ったらあそこもここも写っちゃうから埋めないと……と、どんどん巨大化していく傾向にあります(そしてそんな巨大なもんは作れん……となって、諦めがち)。しかし、決められた土台の上にいかにストーリーを凝縮していくかという考え方をしてみれば話は別。まずはモデルアートを読んで、考え方や楽しみ方を身に付けてみてください。そいじゃまた!

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。