
海外のプラモデルの兵士セットにはたまに「勤務中ではない姿」を題材にしたキットがあって、弾を詰めるでもなく、指をさして指示を出すわけでもなく、会議をするわけでもないものが存在します。
その中でも屈指の面白さがあるのがマスターボックスの1/35 トランプをするドイツ戦車兵4人です。これは完全に勤務時間外、もしくはこち亀の両さんのように勤務時間で遊んでいるというワンシーンを切り取っています。

実際に組み立てる前に驚くのはトランプを握った手。しっかりと再現されていて嬉しいです。

そして、さらに驚くのは犬。シャツの中に収まった犬は、パン屋さんの動物を模したパンのような愛らしさがあります。かわいい。

箱の中には4人の兵士がいるわけですが、1人トランプに参加しないで後ろから手札を見ている兵士が良いですよね。この人がいるから全体にドラマが生まれているというか、声が聞こえてきますね。
きっと手札を眺めている兵士は私たちのようなプラモデルを作った人と、完成されたワンシーンの橋渡し役なのかなと、思います。

そして感心したのが箱の裏には実際にこういったシーンがあったことを示す写真が印刷されているところ。
タバコを吸いながら見守る兵士を見ていたら、前の会社の狭い喫煙室で部長がタバコをふかしながらみんなでスマホのゲームをやってるのを笑いながら見ている姿を思い出しました。そんな部長も昨年の8月に定年退職されたそうです。
戦場というあまりにも非日常な中でトランプで遊ぶ兵士たちは、他の戦車のプラモデルと組み合わせずとも兵士たちだけで世界を完結させているなかなか珍しいキットですので「戦車を作るのは大変そうだけど1/35スケールの世界に飛び込みたい!」という方にとってもおすすめです。
私も戦車は片手で足りるほどしか作ってないですが、1/35スケールという素晴らしく手頃なサイズ感で様々な表現を見せてくれる世界を楽しむにはこういうプラモデルがぴったりだと思います。