白黒で光と影を描くワザ/試してわかったメリット&デメリット!

 人の塗ったプラモを見て「うまいフィギュアだな!」と思うとき、だいたい肌の色が全体に一様ではなくシャドウやハイライト、つまり明暗が描き込まれています。色を塗ってから明るいところと暗いところを描く、というテクニックがあるけど難しい。そもそも人間のどこが明るくなってどこが暗くなり、明るいところは何色になって暗いところは何色になるか、トレーニングを積んでいない人は頭で考えてもイマイチわからん。

 モデルアートから刊行されている『フレッシュ&スキン』はそのへんを豊富な実例とこれでもかというほど丁寧なカラー写真で教えてくれるチュートリアルなんですが、これもじっくり読んでそのまま実践しようとするとかなり難しい。すごくいい本なのでぜひ読んでもらいたいんですが、同じフィギュアを全く同じ色で塗るならまだしも「手持ちのフィギュアを同じ方法で塗ってみよう!」と思うと応用が必要になります。

 そんななかで、応用がいらないテク……すなわちズボラに見える技法が前から気になっており、試してみることにしました。どういう方法かと言うと、フィギュアの上方から白(光)を吹き付け、下方から黒(影)を吹き付けると明るいところと暗いところが自動的に分かれるので、その上に薄く色を乗せると陰影を強調したフィギュア塗装になるぞ!というものです。ブラックアンドホワイトとかグリザイユとか、言葉としてはいろいろと紹介されていますが、原理的には「白黒写真の上に色を乗せる」という考え方です。

 まず極力フィギュアの下の方からつや消しの黒を吹き付けました。先に白を塗らなかったのは、フィギュアを立たせる板をくっつけてしまったので下側から繊細にコントロールしながら吹き付けるのが難しそうだったからです。まあ上から白を吹き付けるのでオッケーということにして次に行きましょう。

 服のシワや装備品の下側、帽子のツバの下に白が入り込まないよう角度を考えながら、今度は上から白を吹いていきます。確かに陰影がバキバキになりました。これはなんか勝利の予感がする……「初めてなのにこんなうまいこと行っていいんだろうか」とほくそ笑んでしまいます。

 最後にシタデルエアー(エアブラシ用のシタデルカラー。水で薄めてビャーっと吹けるのでシンナー臭がしない!)の「デスワールド・フォレスト」という色を、上下関係なく、全体に均一に乗るよう吹き付けてフィニッシュ。

 これ、肉眼で見るとめちゃくちゃイケてるんです。もうなんというか雑誌で見る海外モデラーのハイコントラストなフィギュアが爆誕!「こりゃ最高だね」とつぶやきながらウイスキーを傾けながら延々眺めたいくらい雰囲気が良い。しかし、写真になると「塗って出来た陰影なのか撮影時のライティングによる陰影なのかが区別できない」というウルトラ贅沢な悩みにブチ当たるのです。……それだけ塗装による見かけの陰影が自然に出来ているとも言えますし、写真で「どうですか、いい感じでしょ」というのは伝わりづらいとも言えるのがこの白黒陰影法の特徴かもしれません。

 プラモを誰かに見せたい!というとき、「写真映え/SNS映え」というのはかなり強烈なエフェクトがかかっていないと努力したことがイマイチ伝わらなかったり、逆に肉眼では見る場所の環境光を補正したり、カメラのセンサーよりも広いレンジで塗装を捉えることができるために繊細な変化を捉えやすいという違いがあります。この「鑑賞条件と模型の塗装」についてはめちゃくちゃ言いたいことがいっぱいあるので、これからいろいろ書いていこうかな、と思いました。

 とりあえずこの白黒塗装については「思ってるよりもドラマティック!(ただし肉眼で見たとき)」という印象でしたので、ぜひとも試してみてください。写真に撮ると「あれ?」となるところまで含めて、とてもおもしろいです。みなさんも、ぜひ。

<em><a href="/author/kalapattar/">からぱた<br></a></em><a rel="noreferrer noopener" href="https://twitter.com/kalapattar" target="_blank">@kalapattar</a>
からぱた
@kalapattar

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。