史上最高の「身になる手触り」、アーマーモデリング2021年2月号でジオラマの世界にフェードイン!

 「月刊アーマーモデリング』のサイズはAB判。A4の短辺(210mm)とB5の長辺(257mm)を組み合わせた大きさです。同誌は毎年コンベンションを開催していますが、今回のテーマは「このサイズに収まるジオラマを作ってちょ」というものでした。で、最新号はその結果発表。誰がどんな作品を作ってどんな賞を獲得したのかは本誌を読んで確認してください。

 こういうコンテストのリザルトを見るとおそらくほとんどの人が「オレがもし参加するならどうしていたかなぁ」と考えるでしょう。オレも考えた。で、おもむろにそのへんにあった1/35の戦車をアーマーモデリングの上にそっと置いてみます。

 AB判、小さい!びっくりするくらい狭く感じます。写真のM41ウォーカーブルドッグというのは「軽戦車」というカテゴリですから、中戦車とか重戦車になるともうAB判のほとんどが戦車になってしまい、ジオラマどころの騒ぎではありません。

 でも、今月のアーマーモデリングに掲載されている読者の作品たちはとんでもなく広く見えます。広いというのは物理的にスペースがいっぱいあるということではなく、車輌をAB判という四角のなかにどう配置して、余ったスペースをどう使うのかを工夫することによってAB判以上の広がりを感じさせることに成功している作品がいっぱい見られる、ということです。

 たとえば奥に建物があるとか、手前に人がいるとか、地面までスッキリさせて広く見せるとか、緻密にゴチャッとさせることで周囲の空間を書き換えるとか、傾斜をつけるとか、高さに変化を与えるとか、あえて小さい戦車を使うとか……。

 これって「写真のフレーム以上に奥行きや広さが感じられる」とか「壁際のチェストを低くすると部屋が広く見える」みたいな、視覚と空間のハックをやっているわけです。ただ漫然とうまい戦車を作ってAB判の板のど真ん中にドンと置くとこうはいきませんし、「とりあえず斜めに戦車を置いて、あとは隙間に人間やバイクや標識を立てて埋めよう」と考えるとひたすら狭苦しい作品になってしまいます。半面、うまい人達は本当にうまく粗密を作ったり、奥に生えた木々の間に抜けがあったり、逆に壁を立てたりして人間の想像力で空間的な広がりを補完させたりという演出がされているわけです。

 いや、マジで見れば見るほどいろんなことがうまくなると思いますよ。スマホでメシを撮るときも、工作マットの上で作りかけの模型を報告するときも、パワポでプレゼンを作成するときも……「決まった広さのところに何をどう配置するのか」というのは、とてもシンプルで奥深い問いです。

 もちろん「どう考えればうまくなるかな?」というのは本誌の随所にヒントが提示されています。しかもお題が「いま読んでる本のサイズ」っていうのがとても身体的で平等でわかりやすい。「センスのいい奴はいいよな……」と突き放されることなく、自分でも主体的に考えるきっかけになる土台をいま自分の手で持っているというのはインタラクションとして極めて優れていると感じました。

 例えば1/35でリアルな街並みをそっくりそのまま再現しようとすれば広大無辺の土地が必要になりますが、限られたスペースに「街らしさ」を表現するのは見せ方次第でいろんな選択肢が生まれます。ジオラマやヴィネットという遊びの本質的な考え方と攻略法を少しでも吸収してみたいな、と思ったアナタ。今回のアーマーモデリングを読んでお好きな大きさの土台に自分の広くて深い世界を表現してみてください。絶対に楽しい明日が待ってますよ。

<a href="/author/kalapattar/">からぱた</a>
からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。