きみと夏の終わり、車をいじって、プラモデルを作ったことを忘れない。

 八月の終わり。少し遅めの夏休みをとって、友人の実家に遊びに行った。友人は住み込みで山の仕事をしていて、実家に帰る道すがら最近買ったという軽トラで迎えに来てくれた。友人の家へ行く道のりは、そんなに長く走ったわけではないのに周りはビルがなくなって、田園風景が広がり、田舎に来たという感じがする。

 友人は軽トラにカーオーディオをつけたいそうで、道具を買いにホームセンターに立ち寄ることになった。田舎らしい大きなホームセンターは品揃えがよく、プラモデルのコーナーもあるという。せっかくだからと買ったプラモデルはマイクロエースの1/32ボンネットバス。オーディオをつけるための道具と一緒にプラモデル用の接着剤とニッパーも買って、休みの間にオーディオを取り付け、プラモデルを完成させるという計画を立てた。

 オーディオの取り付けは、説明書どおりにするだけなのだが意外に難しい。ケーブルを剥き、コネクタを取り付ける。配線を調べて、正しく繋ぐ。素人な我々はバッテリーを外すのを忘れてヒューズが飛んでしまう。室内灯が急に消えた時は、感電しなくてよかったと二人で胸をなでおろした。後日友人の親戚が営んでいる修理屋に車を持って行った。ツナギを着たおじさんは、手際よくコードをまとめ、ケーブルを剥き、コネクタをつけていく。その様子を見て、基本的な作業の精度の良さや的確さ、そして目的に合った道具を正しく使うことの大切さを感じた。

 プラモデルも基本的な作業をどれだけ丁寧に正確にできるかや道具をどう使うかによって出来栄えが変わってくる。今回作ったプラモデルは古いプラモデルなのか、バリや成形不良もあり、パーツを綺麗に整形するのが大変だった。パーツの合いが悪いところはカッターで削りながらうまくはまるようにしていく。だが、プラモデルを作るなんて思ってなかったので使い慣れた道具は持ってきていない。ホームセンターで買ったニッパーとカッターナイフでどうにか整形した。適切な道具を使うことや、丁寧に作業をすることの大切さをいつも以上に感じた。

 できたプラモデルは塗装もできなかったし、パーツの合いもうまくいかないところがあって、少し不満が残るものになったが、車を友人といじって壊した記憶と重なって、なんだか忘れられないものになった。

 私の短い夏の思い出を乗せたボンネットバスは今、私の机上に停まっている。そのノスタルジーを感じさせるバスに乗れば、友人と過ごしたこの夏休みにいつでも戻れる気がしている。

マイクロエース 1/32 ボンネットバスシリーズ NO.7 いすゞ ボンネットバス 東濃鉄道 プラモデル

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@motomotopi

東京在住。世界を理解するための糸口としてプラモデルを制作中。趣味の記録や思索のためにnoteも書いています。