
人生で一番疲れていた頃というのを思い出すと、「アイドルに救われたな」ということを思い出します。
9:30~24:30までの仕事が毎日で、22:00に帰れれば「自分の時間があるな」という日々。社内のムードも良くなく、確実に身体も心も蝕まれていましたが、たまに遊ぶ中学校時代の男友達との時間が給水ポイントという感じで、なんとかしのいでいました。
そんなある日、サイゼリヤでいつものように友人と話していたら「AKB48にハマっている」という話題がスタート。当時の私は全然興味がないなか、楽しそうに話す友人が印象に残ったのか、その夜に見た夢はサイゼリヤの椅子に拘束されながら彼女らのステージを見させられるというもの。
私はなぜかそれを見ないように下を向いていたのですが、真ん中で派手に動く女の子の脚にはスネ毛が生えている。「え?アイドルなのに?」と思って顔を挙げたら、そこにはバッチリと衣装を着て満面の笑みで全力で踊る友人……今でも忘れられません。
本当に強烈すぎる夢を見た話をTwitterに投稿したら、別の友人が私を狙ったように『遠距離ポスター』という楽曲のリンクをツイート。ふとリンクを踏んだら、そこにはかわいい女の子たちが歌って踊る姿があって、その日から私はこの曲でセンターを務める柏木由紀さんのファンになりました(今もささやかに応援しています!)。

大人数のアイドルグループの第一印象はたいてい「誰が誰だかわからない」というものです。プラモデルで言うと「何を買ったらいいかわからない」という状態。ただ、友人が柏木由紀さんを教えてくれたことで私はAKB48のメンバーの顔が分かるようになりました。一人ずつの顔を認識して、誰がどういう人なのかを理解するうちに秋元康が描くアイドルの世界にハマっていった……というわけです。

もし、プラモデルとそれにまつわる色々なものが「大人数のアイドル」だとしたら、私にとっての柏木由紀さんは速乾性の流し込み式接着剤だと思います。これを知ったときに「あ、接着剤を使うスケールモデルって俺でも作れそうだな」と思ったものです。そこから、戦車や飛行機、船など様々なプラモデルやデカールの軟化剤、ピンセットやバリ取り棒……などなど、アイドルグループを隅から隅まで知り尽くしていくようにスケールモデルの世界にハマっています。
あなたの関心がプラモデルに少しでも向いたときに「プラモデルのわからなさ」に迷うのであれば、タミヤの速乾タイプの流し込み接着剤を買ってみてほしいです。二つの星は道具だけでなく、プラモデルの箱にもついていて、どちらもまるで同じアイドルグループの一員の証であるような連帯感があります。