流し込み接着剤という便利なものを知ったときに「あ、これなら模型が作れそうだ」と思いました。
それはなんだか今まで想像していた接着と違う感じで、とても魅力的に映ったし、失敗しなさそうなものだと感じられたからです。
実際には百発百中で成功するという風にはその頃も、今もなれていませんが、それでもテレビ通販で驚くほど切れる包丁や汚れを浮かしながら取る蒸気式のクリーナーを見たときのような感動があったのは今も忘れられません。

最近、その流し込み接着剤を使うのがまた楽しくなりました。私の楽しみ方はこうです。
通常なら、貼り合わせたいパーツをピタッと合わせてその上から極細の刷毛で撫でたり、裏から撫でたりすると思いますが、そうではなく、合わせたパーツの端を1ミリくらい開けて、そこに刷毛の先端を置くような感覚で付けます。
そうすると、穂先についた接着剤がスッと、本当に流し込まれるようにパーツの端を進み、パーツ同士の合わせ目にすきこむように入っていく姿を確認することができます。これを、じーっと見るのがとても楽しいです。

ただ、これは楽しいからというだけでやっているわけではありません。実際に確認したいことがあって、それは接着剤の量。
量というのは、目分量という言葉がある通りに量らなくても目で判断することができます。料理でもそうですね。
その、量を判断する目が欲しくてこの作業をじっーと見ています。多いと貼り合わせたい面から溢れてしまいますし、その流れ込む先に川の支流のようにモールドがあるとそこに流れてしまいます。もちろん、少ないと十分に貼り合わせることができません。
ただ見ているだけですが、このように色々な当たり前のことが起きる理由がわかります。
それは言葉で記憶されて頭に格納されるのではなく、目が覚えてくれているような気がします。このおかげか、だいぶ失敗も減りました。
とくに面白いのは穂先についた接着剤の量の調整です。

ある日、量が多すぎる場合は私はキャップを持っていない手の甲に少し撫でつけて、調整するようになりました。そこで、ごく少量を塗る感覚をつかんだのです。それはまだ、うまく言葉にできませんが、目が覚えています。
それがどう貢献するのかというと、クリアパーツを曇らせずにスッと貼れるようになったということです。飛行機のキャノピーなどをしっかり固定させたいときに出番がありますが、今のところ曇らせた経験は無し。ピタッと直ぐに固定されるのでとても気持ちがいいです。
模型を作る最中にはいろいろな発見があって、それこそnippperではとても丁寧に言葉になっています。そうした次のステップのきっかけを基に、皆さんも自身の目で何かを発見してください。